メルセデス・ベンツ Gクラスカブリオレ G320(4WD/5AT)名曲をカバー

最新令和の今風な超絶イケメンの中身は、実はコテコテの昭和頑固オヤジ? 今風な超絶美女の中身は、古き良き奥ゆかしい女性? 温新知故とも言えるカブリオレの登場です。

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泣く子も黙る存在

今やクルマ界においては「泣く子も黙る」存在だと言っていいだろう。

メルセデス・ベンツGクラス。通称“ゲレンデ”。

元となったドイツ語“ゲレンデヴァーゲン”(ゲレンデはスキー用語と同じ意味)はいわゆるオフローダー全般を指す単語だ。

メルセデス・ベンツ Gクラスカブリオレ G320(4WD/5AT)名曲をカバー

ではなぜGクラス(もちろんGはゲレンデヴァーゲンの頭文字だ)は単にゲレンデと呼ばれるようになったのか?そこには“これぞ真のオフローダーだ”という、日本のマーケットからの尊敬の念があった。

Gクラスのベースが軍用車両であることは承知の通り。70年代にNATO軍“制式”採用を目指しオーストリアのシュタイア・プフと共同で開発されたタイプ461ゲレンデヴァーゲンがそれだ。

もっとも、実をいうと当初NATOでは不採用となっている。そこでプフは他国(最初はアルゼンチン軍)への導入実績を作りつつシビリアンユース(民生)への転用も企画。メルセデスも(そして何ならプジョーも)も追随した。これがW460で、Gクラスのそもそもの始まりだ。

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その後、晴れてドイツ軍やフランス軍(プジョー生産)でも採用されることに。日本市場へは1983年に導入されたが、人気が出始めたのはフルタイム4WDとなった2代目W463から(1990年〜)。

日本でも注目が高まると同時に、軍用車を起源にもち、そしてまたその“本名”がゲレンデヴァーゲンであることも知れ渡った。

元を正せばミリタリースペックのオフローダー。そのタフネスぶりを象徴するニックネームとして、マニアの間では尊敬の念を込め、“ゲレンデ”で呼ばれるようになったのだった。

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特に純度の高い

そんな“ゲレンデ”の歴史を知ると、今回紹介する“カブリオレ”がGクラスの中でも特に純度の高いモデルであることをわかっていただけるだろう。

元は軍用車、つまりジープのようなものだから、当然、基本のスタイルは2ドアのオープン(かトラック)であった。

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ロングボディの4枚ドア箱型ワゴンスタイルが定番となって久しいが、本当のゲレンデヴァーゲンに近いのは2ドアカブリオレスタイルであり、そう思って取材車両を見直すと、なるほど機動性のいかにも高そうなエクステリアディテールにその出自が見えてくる。

ドア一つをとっても、乗用車として企画されていたらあり得ない幅の狭さだろう。

実を言うと最近、ゲレンデのショートボディやそのカブリオレは人気である。ちまたにロングが溢れかえったからだ。そんなレアな2ドアカブリオレをさらにツウ好みな仕様に仕上げたのが、今回の取材車両2003年式G320レセンスオリジナルカスタムである。

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古くて新しい。新しくて古い。そんな印象が行ったり来たり。シャレて見えるけれど実に力強い。

スリーピースも似合うけれど、ユニクロでも受け入れてくれる。デートに使えば喜んでもらえそうなのに、毎日の用事にも使いたい。繁華街が似合って、リゾートでも映えるけれど、一度でいいからオフロードも走らせてみたい。

イメージが膨らむクルマ。もし自分のガレージにやってきたら、いったいどんなドライブを楽しむのだろう?なんて想像するだけで、もう楽しくなってきた。

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真のゲレンデ風味

そんなふうに思わせるカスタムの内容をかいつまんで見ておこう。

まずはカラーコーデ。マットホワイトにバンパーからフェンダーまわり、サイドモールをぐるっとグロスブラックに。抑えの効いた粋な2トーンだ。アロイホイールも黒いAMGデザインの20インチ。

ヘッドライトまわり、ウィンカーとガード、グリル(パナメリカーナ)、ボンネット、サイドミラーカバー、フロントフェンダーグリル、リアランプ、スペアタイアカバーは新たにされた。

これだけでずいぶんとモダンに、まるで現行モデルのように見える。こういう仕様があったと言われても納得してしまいそう。

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ドアを開けるとさらに目を見張った。

シートやドアトリム、アームレストは明るいブラウンレザーに張り替えられている。ドアトリムのダイアモンドステッチが素敵すぎる。このインテリアカラーにマットホワイトボディを組み合わせたコーデは抜群だ。

シートベルトも茶色。ウッドステアリングは新品で、ダッシュパネルの状態も悪くない。シフトレバーなど普段からよく目にして触るようなパートの仕上げにも抜かりはなかった。

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ドライブフィールは流石に最新のゲレンデ、W463後期やW464とは一線を画にする。

ぐらりとタイヤのタッパを感じる走りで、クロカン風味が強い。いかにもオフロードユースが得意そうな乗り味である。けれどもそれが真のゲレンデ風味であったりもする。

最新のゲレンデが洗練されたフランス料理だとすれば、このG320はフランス料理の源流というべきベルギー流おもてなし、だろうか。

より“オリジナル”な素材をセンスよく仕立てる一つの公式を発見した気分だった。

SPEC

メルセデス・ベンツ Gクラスカブリオレ G320

年式
2003年式
全長
4075mm
全幅
1810mm
全高
1970mm
ホイールベース
2400mm
車重
2120kg
パワートレイン
3.2リッターV型6気筒
トランスミッション
5速AT
エンジン最高出力
215ps/5600rpm
エンジン最大トルク
300.1Nm/2800~4800rpm
タイヤ(前)
275/50R20
タイヤ(後)
275/50R20
  • 西川淳 Nishikawa Jun

    マッチボックスを握りしめた4歳の時にボクの人生は決まったようなものだ。以来、ミニカー、プラモ、ラジコン、スーパーカーブームを経て実車へと至った。とはいえ「車いのち」じゃない。車好きならボクより凄い人がいっぱいいらっしゃる。ボクはそんな車好きが好きなのだ。だから特定のモデルについて書くときには、新車だろうが中古車だろうが、車好きの目線をできるだけ大事にしたい。

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