ポルシェ・カイエン・ターボ(4WD/6AT)全方位的にスポーツカーより遥か上です

所詮SUVとバカにする浅薄者よ、世界の「ポルシェ」がそんなヤワなクルマをつくると思いますか?ヘタなスポーツカーの域を超え、高性能スポーツカーより凄いんですから。

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ターボモデル特有の迫力

ポルシェ・カイエン・ターボ(957型)を目の前にした瞬間、存在感に圧倒される。

特にフロント周りはポルシェらしいスポーティさを全面に押し出した印象。大型エアインテークが堂々と構え、ターボモデル特有の迫力を強調している。

「SUVとしての実用性」と「ポルシェらしいスポーツ性」を絶妙に両立させる狙いが見て取れる。

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大きな車体にもかかわらず、どこか引き締まった印象を与えるのは、流れるようなボディラインと車高のバランスが絶妙だからだろう。

リアエンドのデザインも見逃せない。広いトレッドを強調し、低く、ぐっと構えた姿勢は、さながらホットハッチだ。

ボディサイズは全長×全幅×全高=4810×1930×1700mm。現行カイエン・ターボより大きく感じるのは(こちらは全長×全幅×全高=4925×1985×1675mm)、ボンネットの高さなどのオブジェクトとしての理由のみならず、当時からの「畏敬の念」によるものも大きいだろう。

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なにより感心するのは、その迫力が、今もまったく薄れていない点。

たったの5000kmしか走ってこなかったこの車が放つオーラは独特で、歩んできた17年間の歴史を想像するだけでワクワクする。

当たり前だが内装もピンと美しく緊張感がある。まるで工場から出荷してきたばかりのようなクリーンな空間だ。走らせずとも、ここにいるだけで、どこか満ち足りた気持ちにさえなる。

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数字以上の衝撃を受ける

ポルシェ・カイエン・ターボの本領は、エンジンを始動し、アクセルを踏んだ瞬間に発揮される。

搭載されている4.8リッターV8ツインターボエンジンは、最大出力500ps、最大トルク700Nm。

スペックだけを見ても圧倒的だが、実際にパフォーマンスを体感すると、数字以上の衝撃を受ける。車重2.5tのSUVが、0-100km/h加速をわずか5.1秒で達成する姿は、いまをもって異次元だ。

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カイエン・ターボはまるで姿勢を崩すことなく、ぴたりと車体を路面に沿わせながら一気呵成に加速する。ワワワワワっとV8が唸りながら、空気を劈く姿は野生の肉食動物のようだ。

エンジンから聞こえる音、マフラーから聞こえる音、すべてが作り物ではなく生々しい。これだけでも、プライスタグの価値がある。

そのうえコーナリングの姿勢にも目を見張るものがある。アクティブサスペンションシステム(PASM)のおかげで、サイズに対して車が軽やかに向きを変える。

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乗り心地の変化による「キャラ変」も見事なもので、2000年代初頭から、もう完成形とも言えそうなレベルにあったともいえる。

唯一、現代車との違いといえば、リラックスして走っているときの、操作系の重さだ。最新のカイエンは、それがターボであろうがなかろうが、正確性はそのままにとても軽く仕立てられている。

けれど、957型は、ひとつずつ重い。この世代の車だと捉えれば味わいにもなるから、大したことではないのだけれど(むしろその価値観の人に乗ってほしいものだ)。

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相容れない要素を融合

これだけのパフォーマンスでありながら、カイエン・ターボは実用性と快適性を一切犠牲にしていない。

広々とした室内空間。上質なレザーで仕上げられたシートやダッシュボード。繰り返しになるが、それぞれがあまりに素晴らしいコンディションだから、なおさら光って見える。

また、トランクルームは広く、旅行用の荷物をたっぷり収納できる。まず困ることはないだろう。

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なにより、このサイズでは考えられないレベルのドライバーとの一体感。たんなる移動手段ではなく、運転する楽しさを存分に味わえるパートナーである。

燃費も決して良いとは言えないが、それでもこの車で得られる喜びと魅力は、欠点を凌駕する。

とここまで書いた時点で気づく。もはやクラシックカーのような扱いであり、崇め方ではないか!

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ポルシェ・カイエン・ターボ(957型)は、スポーツカーとSUVという相容れない要素を見事に融合させた。そんなモデルがあとに続いたことこそが、このカテゴリの魅力を物語っている。

ポルシェがこの車に込めた情熱と技術力が車から溢れている。

「妥協しないSUV」を探しているなら、そしてポルシェ最強SUVの歴史を学ぶならば、このカイエン・ターボは最良の選択肢となるだろう。

SPEC

ポルシェ・カイエン・ターボ

年式
2007年式
全長
4810mm
全幅
1930mm
全高
1700mm
ホイールベース
2855mm
車重
2355kg
パワートレイン
4.8リッターV型8気筒ツインターボ
トランスミッション
6速AT
エンジン最高出力
500ps/6000rpm
エンジン最大トルク
700Nm/2250~4500rpm
タイヤ(前)
295/35R21
タイヤ(後)
295/35R21
  • 上野太朗 Taro Ueno

    幼少から車漬け。ミニカー、車ゲーム、車雑誌しか買ってもらえなかった男の末路は、やっぱり車。今、買って買って買ってます。エンジンとかサスとか機構も大事だけれど、納車までの眠れない夜とか、乗ってる自分をこう見られたいとか、買ったからには田舎に錦を飾りにいきたいとか、そんなのも含めて、車趣味だと思います。凝り固まった思想を捨てたら、窓越しの世界がもっと鮮やかになりました。

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