アストン・マーティンDBX707(4WD/9AT)カントリージェントルマン御用達

もし仮に次期「007」の脚本ができるならば、オンロードで敵のスポーツカーに追いつき、オフロードで奴らを置き去りにするようなシーンを描いてみたい願望に駆られる。

もし仮に次期「007」の脚本ができるならば、オンロードで敵のスポーツカーに追いつき、オフロードで奴らを置き去りにするようなシーンを描いてみたい願望に駆られる。

要するに、凄まじい

車名に連なる数字が最高出力を表している。707。ボーイングみたい。いい数字を見つけたものだ。

とはいえ簡単に700馬力といっても、ちょっと前ならハイエンドブランドのフラッグシップモデル、例えばデビュー当時のランボルギーニ・アヴェンタドール、が標榜したスペックだ。

要するに、凄まじい。背の低いスーパーカーでも驚異のスペックだというのに、そんなエンジンがSUVにも積まれる時代になったとは!

アストン・マーティンDBX707(4WD/9AT)カントリージェントルマン御用達

アストン・マーティンDBXにその名も707というハイエンドグレードが追加されたのは22年のこと。

実を言うとアストン・マーティンが最高出力を車名に用いることはこれが初めてではない。過去にはヴァンテージV550やV600といったモデルがあったし、限定車で同様のネーミングが最近使われていた。

だからと言って707の衝撃が薄まることはない。何せその数字と言えば当時のトップモデルであったV12エンジン搭載DBSの715psに迫る勢いだったのだから。

アストン・マーティンDBX707(4WD/9AT)カントリージェントルマン御用達

SUV界を広く見渡しても700psオーバーといえば過去にジープ・グランドチェロキー・トラックホークの710psがあった程度だ。

現在(2024年末)でもピュアエンジンではプロサングエの715psが最高で、ウルスSEなど800ps以上も存在するがそれらは全てモーターの力を借りている。

いずれにしても、そんな高出力(当然ながら大トルク)を背の高いモデルに積んで安全にパフォーマンスを発揮させるとは、すごい時代になったものである。

京都で乗った個体は、そんなDBX707の初期モデルであった。

アストン・マーティンDBX707(4WD/9AT)カントリージェントルマン御用達

未だ世界第一級のSUV

実はDBXは2024年のマイナーチェンジを機に、707一本となり、インテリアも最新世代のDB12やヴァンテージと同様の文法でデザインされている。初期モデルのスポーティな雰囲気の方が好みだという人も少なくない。

それにしても元はといえば550ps&700Nmだった4リッターV8ツインターボエンジンを+157ps、+200Nmまで引き上げてきたことに驚くほかない。

同じ系列のメルセデスAMG製ユニットではGTブラックシリーズやヴァルハラに積んだスペシャルエンジンであるM178 LS2にも数字的には迫っている、というかほとんど同じレベルだ。

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組み合わされるのは湿式多板トルコンレスのトランスミッション、メルセデスAMGでいうところのスピードシフトMCTだ。大トルクへの対応と効率性、そして何よりもダイレクトで素早い変速が持ち味である。

もちろんパワートレーンの大幅性能アップに併せてシャシー&サスペンション周りにも大きく手が入った。

DBXというSUVの日常性を損なわないレベルで全てのシャシーリアクションをタイトにすべくリセッティングされている。ブレーキ性能も大幅に引き上げられた。

アストン・マーティンDBX707(4WD/9AT)カントリージェントルマン御用達

未だ世界第一級のSUVというべきDBX707の実力とはどんなものだろうか。その一端を久しぶりに味わってみよう。

走り出して気づくのは、エンジンのフィールが550とはまるで違うことだ。余裕がある、とでも言おうか。

何かをうちに秘めていて爆発的な瞬発力を感じない。あまりにスムースにまわるので、むしろさほど速くないとさえ思ってしまったのだが…。

アストン・マーティンDBX707(4WD/9AT)カントリージェントルマン御用達

意のままとはこのこと

メーターを確認すると“ワッ!”と声が出てしまうほどの速度に達していた。

大径となったターボの存在をまるで感じさせないあたり、このパワーアップが単なる数字狙いでなかったことがわかる。

意のままとはこのことを言うのだろう。視線が高くラインを狙いやすいと言うのはSUVに共通の利点だが、その通りに走ってくれないのもまたSUVだ。

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ところがDBXは生来のハンドリング性能と優れた前後重量配分によって、本当に思い通りのラインをトレースすることができる。

前輪と両手がダイレクトに繋がり、腰もまた後輪に乗っかっているかのようだから、どんな速度域で走らせていてもオン・ザ・レール感覚を楽しむことができる。

むろんノーマルのDBXでも同じように気持ちよく走れたわけだが、こなせる速度域がまるで違った。707は驚くほど高いアベレージ速度でリズミカルにコーナーを駆け抜ける。ゆっくり流しても、元気よく攻め込んでみても、ハンドリングにおける良好な印象はまるで変わらない。

アストン・マーティンDBX707(4WD/9AT)カントリージェントルマン御用達

個人的にはブレーキパフォーマンスに惚れた。

背の高さや重量といった制動に不利な条件を全く感じさせない、どころか、ブレーキをもっと踏みたくなる。効きの良さはもちろん、ブレーキコントロールが楽しいSUV なんて…。まったくもってスポーツカーの範疇である。

シックなコーディネーションの車体に秘めた当代随一のパフォーマンス。クルマ運転好きこそ一度は試しておいてもらいたいものである。

SPEC

アストン・マーティンDBX707

年式
2023年式
全長
5039mm
全幅
1998mm
全高
1680mm
ホイールベース
3060mm
車重
2245kg
パワートレイン
4リッターV型8気筒+ツインターボ
トランスミッション
9速AT
エンジン最高出力
707ps/6000rpm
エンジン最大トルク
900Nm/2750-4500rpm
タイヤ(前)
285/35ZR23
タイヤ(後)
325/30ZR23
  • 西川淳 Nishikawa Jun

    マッチボックスを握りしめた4歳の時にボクの人生は決まったようなものだ。以来、ミニカー、プラモ、ラジコン、スーパーカーブームを経て実車へと至った。とはいえ「車いのち」じゃない。車好きならボクより凄い人がいっぱいいらっしゃる。ボクはそんな車好きが好きなのだ。だから特定のモデルについて書くときには、新車だろうが中古車だろうが、車好きの目線をできるだけ大事にしたい。

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