ドイツの総合化学会社「BASF」コーティングス事業部は毎年、産業、ファッション、消費者製品、自然、テクノロジーなどの幅広い分野で将来のトレンドを研究している。
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2024~2025年の自動車のカラートレンド予測
BASF(本社:ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェン)は、2024~2025年の自動車のカラートレンド予測を発表した。
BASFコーティングス事業本部のデザイナーたちは、世界中の自動車デザイナーのインスピレーションとなる新しいカラーコレクションを毎年発信している。
2024~2025年の自動車カラートレンドのテーマであるROUTING(最適な経路選択)は、通信技術分野の概念であるルーティングに着想を得たもので、情報の伝わり方を意味するものだ。
ROUTINGは、BASFのデザイン専門家による重要な発信に裏づけられた多様なカラーパレットを通じ、進化するコミュニケーションの特徴を示している。
今年のトレンドでは、暗い青みがかったレッドや強い色調のパープルへ変化する、新しいレッドが特徴。
強いエフェクトによるエネルギッシュでダークな無彩色は、ソリッドブラックを超えたダイナミックさを表現し、滑らかなメタリックの質感は、特にハイライトの強い輝度が特徴で、メタリックカラーに新たな輝きを与える。
同時にパステルカラーの色域は多様化しており、たとえば、すでに市場には、ベージュやライトグリーンの色域、そして珍しい中間色も見られる。
サステナビリティと機能性はROUTINGの中核をなすテーマであり、カラーの開発には再生可能な材料、リサイクル材料やバイオベース材料を使用し、先進運転支援システム向けに最適化。
BASFのカラートレンドは、自動車メーカーが、新しいモデルのカラーデザインを行う際に活用されており、トレンドの新しい方向性は、今後3年から5年の間に市場に現れることになるとしている。
EMEA地域のキーカラー HARBINGER’S INK(ハービンジャーズ・インク)
サステナビリティに啓発された深いブラック
欧州・中東・アフリカ (EMEA)では、天然資源は有限であるという認識に基づく力強いキーカラーとして、HARBINGER'S INKを提案している。
これまでにないユニークな輝きを放つこの強い色調のブラックは、カーボンネガティブと再生可能な材料、さらに生分解性顔料によって、そのサステナビリティを高めている。
「HARBINGER'S INKは、環境に対する責任を自動車デザインに取り入れることの重要性を象徴するカラーです。自動車に欠かせない基本色をサステナビリティのコンセプトに直接結びつけています。」と、グローバル責任者は述べている。
アジア太平洋地域のキーカラー SCINTILLATION(シンチレーション)
新たな方向を示す持続可能なメタリックカラーコンセプト
SCINTILLATIONの革新的な有害物排出を抑えたベースコート技術によって設計された、スマートで温かみのあるグレーと金属調の質感は、アジア太平洋地域で注目を集めると予測。
このカラーは、人間と人工知能の未来の親和性を表し、高級車のブランド価値と品質、およびサステナビリティを高める。
「SCINTILLATIONは、洗練されつつも未来を見据えたデザインへのアジア太平洋地域の要望を捉えています。このカラーは、テクノロジーの進歩と恒久的な価値の双方が共鳴する持続可能な自動車ソリューションで、この地域が注目する高品質の創造と一致します」と、アジア太平洋地域の自動車カラーデザイン責任者は述べている。
米州のキーカラー HOLDING SWAY(ホールディング スウェイ)
二つの色相が一つに融合したように見えるカラー
HOLDING SWAYは二つの色相と協調するエネルギーの融合が顕著に現れたカラーで、青みに強く変化する深いパープルの色合いが特徴。
「社会のさまざまな場面で、多様な影響力が集まり、製品の革新的なソリューションが誕生します。つながりを生み出し相反するものを橋渡しすることで、人々の消費やコミュニケーション、そしてモビリティ体験の方法に新たな機会とゆとりが生まれます。
HOLDING SWAYは、透明性のある協調するエネルギーの融合によって、革新的な方法が生まれることの重要性を象徴しています」と、米州の自動車カラーデザイン責任者は述べている。