フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(FF/6MT)1つの要素で斯くもクルマは変わる

化粧映えする顔、というのは確かにあるそうだ。DSGはどこか日産GT-Rを思わせ、MTならマツダ・ロードスターを匂わせるというのは、まさに化粧映えと表現したい。

化粧映えする顔、というのは確かにあるそうだ。DSGはどこか日産GT-Rを思わせ、MTならマツダ・ロードスターを匂わせるというのは、まさに化粧映えと表現したい。

ド派手ではないけれど特別

フォルクスワーゲン・ゴルフV GTI。

フロントグリルとエアインテークが黒く繋がれ、結果、大きな口を開けているようにもみえるフロントフェイスには真っ赤なピンストライプが入っている。

ヘッドライトの中身は黒くなり、他スポーツモデルに比べて控えめとはいえ、あきらかに精悍で特別であることを主張する。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(FF/6MT)1つの要素で斯くもクルマは変わる

踏ん張りが効いた外観に見えるのは、225/40 R17の前後ホイールが理由だろう。

ホイールを覗くと、大きくなったブレーキディスクと赤く塗られたキャリパーがちらりと見える。

むっちりしたリアからは2本のテールパイプ(φ70mm)が控えめに突き出す。地味だがルーフスポイラーがついている。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(FF/6MT)1つの要素で斯くもクルマは変わる

いずれも、ド派手ではないけれど特別である。

過去の、そしてこれ以降のGTIモデル共通の言語だ。これ自体、GTIのシンボル=かっこいい、憧れ、という向きは多い。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(FF/6MT)1つの要素で斯くもクルマは変わる

目線を中央に移すと驚く…

インテリアも控えめだが、しかしGTIだ。チェック柄のファブリックシートは、サイトサポートが盛り上がっている。(オプションでレザーシートも選べた)

伝統の3本スポークステアリングはレザー巻きが標準。

下部にはGTIのロゴ。グリップ部はディンプル加工がなされる。径は大きめで、握りはやや太い、ほんのわずかにフラットボトムデザインを採る。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(FF/6MT)1つの要素で斯くもクルマは変わる

さらに目線を中央に移すと驚く。マニュアルシフトだ。

筆者が10年ちょっと前にDSG(デュアルクラッチAT)のGTIを所有していた。

マニュアルに期待が高まる。

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エンジンはGT/GLiが搭載する1984ccガソリン直噴。

これにインタークーラーターボを組み合わせて200ps。280Nmの最大トルクは1800rpmから生み出す。

サスペンションは前:ストラット、後:マルチリンク。15mmローダウン。スタビは20%剛性を高めている。

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DSGモデルとの明らかな違い

乗り始めてすぐ気づくのは、DSGモデルとの明らかな違いだ。

まず、エンジンの回転フィールが軽く感じる。思いのままに高回転まで回せる。DSGは変速のたびに、バフっとバブリング音を聞かせてくれたが、もっと、ずっと、軽やかで、排気音よりもエンジン音を聞かせてくれる。

往年のゴルフGTIに近い。元気で小気味よい。車体が小さく、軽くなったかのような錯覚におちいるのだから不思議。

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シフトストロークはやや大きく、いっぽう挿入する感触は確かなもの、ペダル配置が右ハンドルでも違和感なく、スコッと踏めるクラッチペダルも気持ちがいい。

乗り心地はソフトであるといっていい。結果、粘る。車はゆったり傾きながら、でも常に這いつくばるように路面を掴む。

何もかもがナチュラルで、脚色のようなものは、この世代のGTIにはない。結果、気持ちがいい。操っているぞという感覚が強くある。軽く乾いたかんじ。それがマニュアルだと余計に感じる。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(FF/6MT)1つの要素で斯くもクルマは変わる

ちょっと大げさな表現。DSGのゴルフGTIは日産GT-Rみたいだけれど、MTはマツダ・ロードスターみたい。

なおテスト車は20年、3万km。よくそんな車が残っていた。そしてよくぞ見つけた。それが100万円台前半。買う買う買います。即決してもいいくらいの、素朴だが余韻残るエンターテインメントだった。

SPEC

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI

年式
2005年式
全長
4225mm
全幅
1760mm
全高
1495mm
ホイールベース
2575mm
車重
1440kg
パワートレイン
2リッター直列4気筒+ターボ
トランスミッション
6速MT
エンジン最高出力
200ps/5100〜6000rpm
エンジン最大トルク
280Nm/1800~5000rpm
タイヤ(前)
225/40R17
タイヤ(後)
225/40R17
  • 上野太朗 Taro Ueno

    幼少から車漬け。ミニカー、車ゲーム、車雑誌しか買ってもらえなかった男の末路は、やっぱり車。今、買って買って買ってます。エンジンとかサスとか機構も大事だけれど、納車までの眠れない夜とか、乗ってる自分をこう見られたいとか、買ったからには田舎に錦を飾りにいきたいとか、そんなのも含めて、車趣味だと思います。凝り固まった思想を捨てたら、窓越しの世界がもっと鮮やかになりました。

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