RESENSE(レセンス)が取り揃える、「希少な色味」や「一点物」のラインナップが「個性を車で表現したい」ファム・ゴック・ハイさんの『探求心』を刺激している。
日本への夢が諦めきれず
「わたしの名前は、ファム・ゴック・ハイです。ベトナム出身です」
「ハイ=海(うみ)を意味します。ですから皆、わたしのことを海(かい)くんと呼んでくれます」
流暢な日本語で、海さんはそう話しはじめた。1991年3月生まれ。高校卒業後、ベトナムの大学に進んだが、日本への夢が諦めきれず、大学を辞し、日本の大学を受け直した。
日本への憧れは、彼のおじさん(日本人と結婚した)の影響だったという。日本からベトナムに帰ってくるたび、日本がいかに素晴らしい国であるかを教えてくれたのだという。また日本のアニメが海さんを魅了したのだという。
「決して簡単なことではありませんでした。けれど憧れが、つらさを上回りました。また、周囲の皆さんの助けあっての今なんです」
海さんは、朴訥と、そう語る。
車との出会い
車との出会いもまた、おじさんだった。ベトナムへ帰省するおじさんは、海さんに必ずミニカーやラジコンを土産として持ち帰った。
「おじさんと会えるのはもちろんでしたが、ミニカーやラジコンが楽しみのひとつでした」
「眺める喜び、手に取る喜び、走らせる喜び。それぞれは、本物の車とも通じますね。よく考えてみると」
少年の心は、大人になるまで、そのままキープされた。
「ご存知の通り、私のように、外国から来た人間が、日本で稼ぎ、車を買うことは簡単なことではありません。死ぬ思いです。しかし『好きがつらいを上回る』のは、わたしが日本に来ることを決めたときと一緒。何が何でもという想いで、初めての車を手にしたのでした」
自分の車を手にした
最初に手に入れたのは、旧いBMW 320iだったという。
「嬉しくて嬉しくて、たまりませんでしたね」
「やっと自分の車を手にした…。これに乗って、どこへでも行きました」
それに約2年乗った海さんは、もっと快適な車を知りたくなった。
「今思うと、身の程知らずだったかもしれませんが、鬼のようなローンを組んで、メルセデス・ベンツS 450を買いました」
簡単にローンを組めるわけではないので、保証人を頼み込んだそうだ。日夜問わず、寝る間も惜しんで仕事に取り組んだ。
永住権を獲得し、保証人の必要がなくなった。ビジネスも軌道に乗り始め、次に手にしたのは赤いメルセデス・ベンツGクラスだった。
「天にも昇るような思いでした。カスタムも楽しみました」
さらに好奇心に拍車がかかり、今は憧れのポルシェ。カイエン・クーペGTSを手に入れた。
「赤い車が好きなのです。RESENSE(レセンス)には、独特なカラーの車が多いです。個性を車で表現したいと考える私にとってはぴったりです」
モチベーションはどこから
海さんは現在、日本の企業に勤めながら、通訳の仕事や、株式投資など、精力的にビジネスを展開している。
そのモチベーションはどこから来るのだろう?
「探究心です」
きっぱりとそう言い切る。
スピード、官能性。どんどん探究心が湧いてくる。
「考えてみれば、日本に来ることを選んだときから、想いの根源は『探究心』でした」
「いまちょうど、ビジネスと車、両方の探究心がぴたりと重なっているように思えます」
「1日が終わると、倒れるようにベッドに入ります。シャワーを浴びていると、ふと『なぜこんなに頑張っているのか』不思議な気持ちになるときさえあります」
「すべては私の『探求』のため。私を支えてくださる方々の顔も浮かびます」
夢は、鎌倉で営むおじさんのベトナム料理店の拡大、ロボットの導入で人手不足の解消、さらにグローバルに日本の魅力を届ける、など挙げればキリがない。
――車に関しては?
「12気筒、でしょうか」
少年の心は、これから先も美しくキープされているに違いない。