RESENSE(レセンス)に関わるメンバーインタビューは武田愛里さん。縁の下の力持ちな彼女の特技は「水中で走る」こと…。自身も輸入車沼へ片足を突っ込んでいる。
武田さんのペースに
わたし、「まじめ系クズ」なんです。経理担当、武田愛里さんのインタビューは、こんな衝撃的な一言で幕を開けた。
何かと武田さんとやりとりがある筆者にとって、ていねいで親切、(まじめすぎるほど)まじめなイメージだったので、まさかそんなフレーズが出てくるとは思ってもいなかった。
だから正直面食らった。
「あ、そうそう、この前、高校の先生とたまたま出会ったんですよ。」
「そのとき私、宿題を出してないままだったことを思い出したんですね。謝りにいきました。」
もう最初からインタビューは武田さんのペースになってしまった。こうなったら身を委ねるしかない。そう思った。
大分県別府市で生まれた武田さんは、中学でソフトテニスを始め、高校になってから野球部のマネージャーになった。
「相談を受けることが多い性格だったかもしれません。」
「あと、裏方っていうんでしょうか。自分が表に出ていくというよりも、表舞台の人を裏からきっちり支えていくことのほうが得意かもしれません。ひょっとすると。」
「特技ですか? 水中で走ることです。」
「…。」(筆者)
「今もしかして私、変なこといいましたか? ひやあああああ…。」
うん。やっぱり傾聴に徹しよう。筆者はそう覚悟した。
勇気を振り絞って転職
大学では法学を専攻した。就職先は事務方。「自分が裏方として、世の中のお役に立てまいか、と思った結果でした。」
きっちりと業務をこなすうちに、ルーチンワークから脱したいという、好奇心からくる欲望が生まれてきたという。
「人材紹介会社さんから、大分におもしろい会社がある、と伺ったのがきっかけでした。」
勇気を振り絞って転職した先が、レセンス擁するアドグラフィーだった。(厳密に、レセンスはアドグラフィー社のいち部門という位置づけだ。)
配属先がレセンスに決まったとき、「しまった! と思いました。だって私、車のこと、全く知りませんでしたから…。」
その時の愛車は初代スズキMRワゴンだった。
まず、「『997の名変よろしく』といわれても、997? ポルシェ? 911? なんのことかわからないわけです。」
いちから学び、ひとつずつ自分のものにしていくまでに、かなりの努力を要した。ひとり涙したこともあっただろう。
「くる日もくる日も、勉強の日々でした…。」
「そのかん、ずっと見守ってくれていたメンバーにも感謝しかありません」
「ガラリと世界観が変わったのは、アウディA1を買ったときでした。」
下取りに入ってきた個体が目にとまったといいう。
裏方仕事であるものの、レセンスの世界観を提唱する一員であると自覚する以上、少しは自分も車を勉強してみたほうがいいのではないかと思ったのだという。
「内装のしつらえ、背中にシートがあたる感触、ハンドルやドアノブを握った感触、香り、すべてが別次元でした…。」
この瞬間、見える世界が一変した。
アウディTT(初代!)の納車待ち
それから探究心はさらに強くなり、メルセデス・ベンツAクラス(飾り気のない素のグレード、ネイビー、布シート)にみずから乗り換える。
「私にとって、とんでもなく分不相応な車であることは百も承知ですが…世界中で愛される車ってどんなものなのか、この目で知りたかったのです。」
「毎朝、毎晩、通勤がわくわくします。」
「世界が変わるってこういうことなのだ、としみじみ思いましたね。」
そしてなんと今は、アウディTT(初代!)の納車待ちだという。
「私自身、表に出るポジションではありませんが、私が進める書類仕事において、新しいオーナーさんがどんな気持ちでこの車に行き着き、納車をお待ちいただいているか、その想像ができるだけでも、たいへん楽しいことなのです!」
「夢…ですか?」
「夢を語ることなんて、とんでもないことでございます…。」
「ただひとつ申し上げるなら『皆さんと会話が通じ合うくらいには成長していきたい』かな…。」
レセンスの縁の下の力持ちは、絶対的な存在であった。
インタビュー前に、河野代表からこう聞いていた。「武ちゃんはね、実は僕達のチームで、もっとも大切な存在なんだよ。」
その言葉の意味がやっとわかった。