ポルシェ911タルガ4(4WD/7AT)似通ったモデル内で際立つ孤高のオシャレさ

これまで色々な911は買ってきたが、タルガだけ買ったことがない。いつもタルガを買うけど、他のグレードには興味がない。911ヒエラルキーの中で孤高の存在はタルガ。

これまで色々な911は買ってきたが、タルガだけ買ったことがない。いつもタルガを買うけど、他のグレードには興味がない。911ヒエラルキーの中で孤高の存在はタルガ。

“自分好み”を見つける

911が名車である理由。それは何も最新が最良であるからではない。

RRというユニークなパッケージをモノにしようと世代ごとに磨きをかけ、それぞれの世代に“ファン”が生まれるほど存在感があるからだ。

だから、最新モデルが出るたびに少し前のモデル、たとえば今なら991、をしみじみ良いと思ったりできる。単純に最新が最良なのであれば、そんな思いに駆られることなどないはずだ。それこそ空冷など忘れてしまえるはずだろう。

ポルシェ911タルガ4(4WD/7AT)似通ったモデル内で際立つ孤高のオシャレさ

もう一つ、911には世代ごとに“自分好み”を見つけることのできる特徴というか理由があった。それがモデルバリエーションの多さだ。

スタンダードから役物まで、いろんな役者が揃っている。しかも近年、選択肢は増え続けている。世代ごとに魅力があり、世代ごとに種類が多いということは、その掛け算でもって“自分好み”を探す範囲となるというわけだ。

というわけで、991.2×タルガ×4WDという組み合わせが今回のパートナー。997の時代からタルガを選ぶと四駆になるので厳密には必然だが、RRと4WDの違いは少なからず残っているので、あえてそう書いておく。

ポルシェ911タルガ4(4WD/7AT)似通ったモデル内で際立つ孤高のオシャレさ

996-997世代から991への進化はちょっと衝撃的だった。ホイールベースが伸びてGTフィール=安定感が増した、と大雑把に言われる通り、確かに全体的にみればその傾向にあるのだと思う。

けれどもクルマの、否、911の進化とは面白いもので、992を知る身には一つ前の991.2であっても十分に昔から“慣れ親しんだ911っぽい”。

一つ前、二つ前の世代をそれっぽく思えること。結局、全ての世代に熱烈なファンが存在する理由は、そんなところにあるのかも知れない。

ポルシェ911タルガ4(4WD/7AT)似通ったモデル内で際立つ孤高のオシャレさ

鮮やかだけれども濃い

ターボエンジンとなってからのタルガ4。

Sとの違いは主にエンジンスペックで、新車時の価格差は300万円もあったから、そこには歴然としたステータスの違いがあったわけだけれど、今となってはもはやどうでもいいこと。

911としての次世代(992)への進化がその差を相対的に縮めてしまったからだ。むしろ気張ってないぶん、あえて乗る意味は非Sモデルにこそあった。

ポルシェ911タルガ4(4WD/7AT)似通ったモデル内で際立つ孤高のオシャレさ

鮮やかだけれども濃い目のブルーをまとったタルガ。

色の正式名はサファイアブルーメタリックという。足元はブラックで締められている。

タルガブリッジの落ち着いたメタリックカラーとのコントラストが美しい、というかキマッている。インテリアはブラックで、ブルーの差し色。エクステリアとのコンビネーションも悪くない。

ポルシェ911タルガ4(4WD/7AT)似通ったモデル内で際立つ孤高のオシャレさ

ホイールベースが2450mmになって、そこは992にも受け継がれているのだけれど、それでもなお991は“ひと回り”小さく見える。

そこがまず、普段使いに嬉しい。実際のところ、厳密にボディサイズが重要になってくる場面は立体駐車場くらいしかない。

京都の街中は狭いと言われるけれど、たいていバスが通っているのだから、少々大きいクルマであっても走っていける。それよりも精神的に“小さい”と思えるかどうかが大事。

ポルシェ911タルガ4(4WD/7AT)似通ったモデル内で際立つ孤高のオシャレさ

992になると、見た目に大きいので近所の買い物に連れ出すような場面はどうしても億劫になってしまう。

それが991となると、大きさなどさほど気にせず出て行ってしまえる気軽さがあった。もちろん、最新ではないから気負いもない。でも、それがいい。

“見た目の印象”って、ホントに大事なのだ。

ポルシェ911タルガ4(4WD/7AT)似通ったモデル内で際立つ孤高のオシャレさ

久しぶりに991.2を駆る

久しぶりに991.2を駆る。最新か、いっそ3世代以上も前のモデルなら乗る機会もあるけれど、一つ前(992.2がまだ輸入されていない)は意外とめぐってこない。しかもタルガ4。

このモデルを現役時に乗った経験はあるにはあるけれど、こうしてもう一度乗るまで思い出したことはなかった。992のバリエーションを試すことで今や精一杯なのだ。

スタンダードエンジンがターボとなった初のモデル。そういう意味では歴史的ではあるけれど、マイナーチェンジでそれをやってくるあたり、さすがはポルシェ、狡猾だ。

ポルシェ911タルガ4(4WD/7AT)似通ったモデル内で際立つ孤高のオシャレさ

NAの前期がいい、という人もいる。確かにエンスージアスティックな目でみればそうかも知れない。けれども普段使いをメインに考えるなら、街中から高速までより扱いやすい、というか柔軟性の高いターボエンジンが良い。

低回転域から十分な力を発揮する。アクセルペダルの踏み込みが少なくて済む。それは運転において“ラク”ということだ。もちろん、踏めば踏んだで3リッターフラット6は快活に回ってくれる。十分に気持ち良い。

ポルシェ911タルガ4(4WD/7AT)似通ったモデル内で際立つ孤高のオシャレさ

それよりも何よりも、前アシが自分の思いに忠実な感覚が嬉しい。手に余るということがない。これはとても大事なことで、911らしさの一つのわかりやすい感覚だろう。

もちろん、それだって997や996と比べてみれば落ち着いている方だ。でも、そんなことを言うとみんなナローに乗らなければいけなくなってしまう。

否、それはそれで人生の趣味として面白い。結局のところ、今はまだ気軽に買える991や997あたりを入り口にして、911の魅力に次第にハマっていく、そして最後はナローか930、というプランもあっていいのだ。

文:西川淳(Jun Nishikawa)

SPEC

ポルシェ911タルガ4 PDK

年式
2016年式
全長
4505mm
全幅
1850mm
全高
1295mm
ホイールベース
2450mm
車重
1620kg
パワートレイン
3リッター水平対向6気筒+ターボ
トランスミッション
7速AT
エンジン最高出力
370ps/6500rpm
エンジン最大トルク
450Nm/1700rpm
タイヤ(前)
235/40R19
タイヤ(後)
295/35R19
  • 西川淳 Nishikawa Jun

    マッチボックスを握りしめた4歳の時にボクの人生は決まったようなものだ。以来、ミニカー、プラモ、ラジコン、スーパーカーブームを経て実車へと至った。とはいえ「車いのち」じゃない。車好きならボクより凄い人がいっぱいいらっしゃる。ボクはそんな車好きが好きなのだ。だから特定のモデルについて書くときには、新車だろうが中古車だろうが、車好きの目線をできるだけ大事にしたい。

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