メルセデス・ベンツ GLS 400 d 4マティック AMGラインPKG(4WD/9AT)「R」クラス無き今の選択肢 

一昔前のスポーツ選手(特に野球)=「ベンツ」だった。理由は簡単。資本の身体を守るため。守るものが出来た貴方、どうですか?

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メルセデスSUVの頂点

2020年にフルモデルチェンジしたメルセデス・ベンツGLS。

メルセデス・ベンツのSUVを表現する「GL」に、車格を表す「S」がつくとおり、メルセデスSUVの頂点に位置するモデルである。

2006〜2016年まではGLを名乗っていた。これを含めて3代目となる新型は、内外装や装備を拡充している。

メルセデス・ベンツ GLS 400 d 4マティック AMGラインPKG(4WD/9AT)「R」クラス無き今の選択肢 

グレードはGLS 400 d 4マティック、GLS 580 4マティックの2本立て。

前者は3リッター直列6気筒ディーゼルターボ(300ps/700Nm)、後者は4リッターV8ツインターボ(489ps/700Nm)+モーターISG(22ps/250Nm)となる。

今回のテスト車はディーゼルモデルだ。

メルセデス・ベンツ GLS 400 d 4マティック AMGラインPKG(4WD/9AT)「R」クラス無き今の選択肢 

外装はメルセデス・ベンツのデザイン思想「Sensual Purity(=官能的純粋と直訳)」が具現化されたという。極力エッジやラインを減らし、面を強調する。

肉感たっぷりで、サイズを抜きにしても、リッチでエレガントなデザイン。メルセデス・ベンツらしいプロポーションだ。

フロントは八角形の大型ラジエターグリルとその中の2本のルーバーが目立つ。その両脇にある二対のLEDライトはいかにも緻密なデザインで、デイタイムライトは片側112個のLEDが組み込まれているという。

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フルサイズSUVの内装

内装も外装と同じくラグジュアリーかつエレガントなデザインだ。ダッシュボード上では、12.3インチのインフォテインメント用ディスプレイと、同じく12.3インチのコックピットディスプレイが1枚のガラスで覆われている。

その延長で、水平方向になめらかなラインでつながるラインは、そのままドアパネルと一体になっている。

いっぽう、センターコンソール左右には、大きなグラブハンドルが設けられる。エレガントでありながら、無骨な演出も忘れておらず、SUVに乗っていることをさり気なく実感させる。

メルセデス・ベンツ GLS 400 d 4マティック AMGラインPKG(4WD/9AT)「R」クラス無き今の選択肢 

スイッチもフルモデルチェンジで見直され、いかにも金属らしいタッチが上質さを際立たせる。前席にはシートベンチレーターやステアリングヒーター、温冷機能付きカップホルダーが備わる。豪華だ。

先代モデルと比べてホイールベースが60mm延長されている点も見逃せない。

2列目シートは、電動で前後にスライドする。最も後方にスライドさせることで足元は87mm拡大するという。40:20:40の分割可倒式シートや左右ヘッドレストの高さまで電動。

3列目シート(2座)は、資料によると194cmの乗員まで対応するという。専用のUSB充電ポートまでつく。

メルセデス・ベンツ GLS 400 d 4マティック AMGラインPKG(4WD/9AT)「R」クラス無き今の選択肢 

空調は、1列目左右、2列目左右、3列目で独立調整が可能。至れり尽くせりだ。

3列目のシートを立てた状態の荷室は470リッター、2列/3列目を倒すと最大2400リッターまで拡大する。

またトランクスルーの横幅が72mm拡大された。スイッチ操作でリアの車高が50mm下がるため、荷物の積み下ろしも楽だった。

メルセデス・ベンツ GLS 400 d 4マティック AMGラインPKG(4WD/9AT)「R」クラス無き今の選択肢 
メルセデス・ベンツ GLS 400 d 4マティック AMGラインPKG(4WD/9AT)「R」クラス無き今の選択肢 

乗った印象はどうだ?

車体自体は大きいけれど、デザインの妙だろうか、あるいはGLEとの共通言語が強めだからだろうか、実際に目の前にしたときの「威圧感」みたいなものはあまり感じられない。それよりもはるかに小さいGクラスのほうがよほど圧がある。

シートに腰を下ろしても、ダッシュボードの造形や窓のサイズのおかげで、途方もなく大きい車に乗っている感覚もない。

走り出しても、頼りがいのあるディーゼルユニット、なめらかなペダルに対する反応、軽いステアリングのおかげで「運転しやすいな」と感じるほどだ。

メルセデス・ベンツ GLS 400 d 4マティック AMGラインPKG(4WD/9AT)「R」クラス無き今の選択肢 

このクラスの車では当たり前になりつつあるが、ディーゼルエンジンは極めて静かだ。なめらかで豊かに湧き上がるトルク。高級車に乗っていることを実感する。

室内の質感も新車価格にふさわしいもの。セカンドハンドの価格を考えると、これ以上にお得な車は無いのではないかとさえ思える。

2列目シートは言うまでもなく広大。3列目も172cmの筆者が余裕で座ることができた。

メルセデス・ベンツ GLS 400 d 4マティック AMGラインPKG(4WD/9AT)「R」クラス無き今の選択肢 

ひとつだけ気になったのは、低速域の乗り心地。大きなタイヤによるコツコツとした衝撃が上屋まで伝わる。しかし、60km/hを超えた時点で、車体全体がゆったりと衝撃をいなすメルセデス・ベンツらしい乗り心地に転じる。この味わい、メルセデス・ベンツにしかつくれない。

テスト車は1年落ち、2万kmのマイレージを記録していた。これが新車価格よりも200〜300万円安価に買えるのだから…。

贅沢な選択である。

文:上野太朗(Taro Ueno)

SPEC

メルセデス・ベンツ GLS 400 d 4マティック AMGラインPKG

年式
2023年式
全長
5220mm
全幅
2030mm
全高
1825mm
ホイールベース
3135mm
車重
2590kg
パワートレイン
2.9リッター直列6気筒+ディーゼルターボ
トランスミッション
9速AT
エンジン最高出力
330ps/3600~4200rpm
エンジン最大トルク
700Nm/1200~3200rpm
タイヤ(前)
275/45R21
タイヤ(後)
315/40R21
  • 上野太朗 Taro Ueno

    幼少から車漬け。ミニカー、車ゲーム、車雑誌しか買ってもらえなかった男の末路は、やっぱり車。今、買って買って買ってます。エンジンとかサスとか機構も大事だけれど、納車までの眠れない夜とか、乗ってる自分をこう見られたいとか、買ったからには田舎に錦を飾りにいきたいとか、そんなのも含めて、車趣味だと思います。凝り固まった思想を捨てたら、窓越しの世界がもっと鮮やかになりました。

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