新しいウルトラパフォーマンス・ハイブリッドを搭載するベントレー新型コンチネンタルGTスピードが達成した非公式な「海底トンネルでの世界最速記録」の舞台裏をご紹介。
海底トンネルでの世界最速記録の舞台裏
4代目となる新型コンチネンタルGTスピードが、トンネルを通過する自動車としては世界最速とされる非公式な「海底トンネルでの世界最速記録」を達成した。
4月18日、新型コンチネンタルGTスピードはノルウェーにある全長14.5kmのルフルケトンネルで最高速度を記録。
ベントレーの新しいウルトラパフォーマンス・ハイブリッド・エレクトロチャージド・パワートレインを搭載した新型コンチネンタルGTスピードは、コルトン社が製造した第2世代再生可能バイオ燃料である「サステイン」と、ベントレーが所有するソーラーパネルからの電力で充電されたハイブリッドバッテリーで走行し、782psと1000Nmの実力を軽々と発揮した。
クラスをリードするこの新しいパワートレインは、従来のW12よりも馬力とトルクを向上させ、究極のパフォーマンスを実現。また、CO2排出量も29g/kmと大幅に削減され、極限のパフォーマンスから静かでエフォートレスな電動ラグジュアリー体験まで、並外れた走行性能を提供する。
高速トンネル走行を安全に達成するために
13か月にわたる準備と計画が必要で、すべての新型コンチネンタルGTスピードは、高速走行に適した空気圧に調整する以上のセッティングを施すことなく最高速度に達することができるが、狭いトンネル内での走行には特別な注意が不可欠であったとしている。
この記録達成の最初のステップは、適切なトンネルを見つけ出すことで、ノルウェーのスタヴァンゲル近郊にあるルフルケトンネルは、比較的まっすぐかつスムースで、長さの余裕も大きい、完璧な候補であったため、ベントレーは、ノルウェー公営道路局と地元スタヴァンガー警察の支援を得た。
幅10メートルのトンネル内で最高速度を出したとき、自動車の物理学的特性を数値流体力学でシミュレーションした結果、トンネル内では空気抵抗が11%高くなることが判明。
また、車両への空力負荷は、トンネルの壁に跳ね返る車の衝撃波や航跡にも影響されるため、ベントレーの車体エンジニアは車のボディパネルにかかる非定型的な力もテストしなければならず、シミュレーションの結果、車両をトンネルの中央で走行させることが重要であることがわかった。
ロールケージとバケットシートを備えた高速走行専用のマシンには、X線検査で表面の凹凸をチェックした22インチのピレリタイヤを装着。走行を担当したのは、マン島TTコースのラップレコードを持つ元英国ラリーチャンピオンのマーク・ヒギンズ氏。
最高速度での走行は、2つのトンネルのうち1つを閉鎖することで地元の交通への影響が最小限に抑えられる現地時間の午前1時に実施し、交通の遅延を避けるために予備のトンネルに一般車両は迂回された。
空気抵抗が増加したにもかかわらず、新型コンチネンタルGTスピードは停止状態から335km/hまでわずか33秒で加速し、この映像制作のディレクター担当が要求した時間だけ最高速度を維持できたと発表している。