ポルシェ911(991.2型)のカブリオレ、それもグレードは「GTS」の試乗記。GTSのルーツを探り、991.1世代との違い、GTSのならではの味わいを探った。
INDEX
911 GTSの進化を辿る
ポルシェ911の場合、997世代からGTSの名前が加わった。2014年のことだった。
クーペとカブリオレ、RRと4WDが設定されていた。7速PDKのみの設定で左右ハンドルから選ぶことができた。このページでの主役と同グレードのカレラGTSカブリオレを抽出すると1923万円(税込み)であった。
それから3年後。991世代がいわゆる991.2世代に変わったことで、GTSも更新された。この世代交代では、パワートレインが自然吸気からターボに変わったことが大きなトピック。欧州のCO2排出規制への対応が理由である。
モデル展開は991.1のラインナップに加え、タルガ4が設定されている。トランスミッションは7速PDKのみで、左右ハンドルから選べるのも変わらない。
GTSのターボ化も例外ではなく、3.0リッター・フラット6ターボは、991.1世代の自然吸気+20psの450psに達する。同時期のカレラS+30ps。優位なトルクも550Nmを記録した。2150〜5000rpmで発生するのも特長だ。
PASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント)もGTSでは標準装備となり、カレラSより10mm低い。(GTSクーペのみ、20mm低くなる)。
なかなか実感の湧きにくい指標かもしれないけれど0-100km/hは最短で3.6秒(カレラ4GTSクーペ×PDK)、最高速は310km/h(カレラGTS×PDK)となる。
今回の主役カレラGTSカブリオレは2116万円(税込み)となっていた。
驚くべき超絶ソリッド
ソリッドな感触のドアノブを引き、シートに腰下ろす。ソリッドな感触のキーをひねると、けっこうな音量でエンジンが目覚める。
ガシャ。PDKのレバーをDレンジに入れてアクセルを踏むと、911カレラGTSカブリオレは間髪入れずに前へ進む。
乗り心地は硬い。911=グランドツアラーという表現をみると、比較的穏和な乗り味を想像するかもしれないけれど、PASMの影響である、硬い。
驚くのはPDKの変速マナー。991.1世代と比べると、明確に洗練されている。変速ショックは皆無といっていいレベルにある。音だけが変速したことを知らせてくれる。シフトダウン。こちらの動きを予想していたかのように、想像の半分くらいのスピードでシフトダウンする。ショックがない。ゲームセンターに置いてあるレーシング・ゲームのようだ。指の腹がパドルに触れた瞬間に準備が始まっている? 本当にそう思ったほどだった。
速度が高まると、比較的フラットな乗り心地になる。けれど硬さは残る。多くの人が、アシを締め上げるためのスイッチを押すことはないだろうと推察する。
SPEC
ポルシェ911カレラGTSカブリオレ
- 年式
- 2018年
- 全長
- 4530mm
- 全幅
- 1850mm
- 全高
- 1290mm
- ホイールベース
- 2450mm
- パワートレイン
- 3リッター水平対向6気筒ツインターボ
- トランスミッション
- 7速AT
- エンジン最高出力
- 450ps/6500rpm
- エンジン最大トルク
- 550Nm/2150~5000rpm
- サスペンション(前)
- マクファーソンストラット
- サスペンション(後)
- マルチリンク
- タイヤ(前)
- 245/35 ZR20
- タイヤ(後)
- 305/30 ZR20