アストンマーティン・ヴァンテージに7速マニュアル・トランスミッションを組み合わせると立ち位置がぐっと変化する。新エンジンを味わい尽くす魔法のツールが7速MTなのだ。
INDEX
ヴァンテージAMRとは何なのか
まずAMRとは、アストンマーティン・レーシングの略。競技車両開発のノウハウが注ぎ込まれた証で、高性能市販モデルに冠される。
2019年5月に発表され、即完売したヴァンテージAMRは、限定200台であった。ヴァンテージ・ヒーローエディション(141台)とヴァンテージ59(59台)に大別される。
ヒーローエディションは、
サビロ・ブルー
オニキス・ブラック
チャイナ・グレー
ホワイト・ストーン
のエクステリア・カラー展開となる。
59は、スターリング・グリーン×ライム
の色合いになる。これは1959年のルマン24時間レースで1-2フィニッシュを達成した「DBR1」からインスパイアされている。
生まれ変わった内外装デザイン
以前の記事、アストンマーティンV8ヴァンテージ(FR/6AT)最初で最後のマスターピースでも触れたことだけれど、先代モデルのデザインの完成度は誰もが認めるものだった。
だからこの4代目が担う重責は、かなりのものだったと想像するのは容易い。
魚の口のように大きく開いた伝統的なグリルや、アメリカのホラー映画「スクリーム」に出てきた「ゴーストフェイス」の目みたいなテールライトばかりが筆者は気になっていた。
しかしこれらはボディカラーによって印象を変えることを改めて知る。オニキス・ブラックで塗られたテスト車は、要所をカーボンで武装する。同系色でまとまるボディが木々を反射させながら複雑なボディ造形を浮かび上がらせる。
慣れてくると、たっぷりとしたトルクのあるV型8気筒をマニュアルで御す快感が病みつきになる。1速でも2速でも3速でも、大きなトルクが湧いてくる。高ケイデンスでペダルを掻くのも楽しいけれど、高いギアひと漕ぎで、ぐっと進むロードバイクのあの漲る感覚を思い出す。
肉厚のV8ターボ×MTはこんな感じなのか…。ATと異なり、常に変速タイミングを選べることも、このV8ユニットの旨味を引き出している。
また、タイトなボディコントロールのおかげで、ダブついた感覚が一切ないのもいい。
シフトノブの先にあるレヴカウンターを模したボタンを押すと「AMSHIFT」と呼ばれるオートブリッピングがアクティベートされ、自分が運転するよりも上手な(?)迫力あるシフトダウンが叶う。
ATからMTに置き換わるだけで、まるで違う車になったような感覚になる。
SPEC
アストンマーティン・ヴァンテージAMRヒーローエディション
- 年式
- 2020年
- 全長
- 4470mm
- 全幅
- 1940mm
- 全高
- 1270mm
- ホイールベース
- 2700mm
- パワートレイン
- 4リッターV型8気筒ツインターボ
- トランスミッション
- 7速AT
- エンジン最高出力
- 510PS/6000rpm
- エンジン最大トルク
- 625Nm/2000-5000rpm
- サスペンション(前)
- ダブルウィッシュボーン
- サスペンション(後)
- マルチリンク
- タイヤ(前)
- 255/40R20
- タイヤ(後)
- 295/35R20