718ボクスターGTSと聞いて、瞬時にターボかNAか?と思うアナタは間違いなくポルシェフリーク。今回はNAモデルに無い良さを探りつつターボ版に試乗する。
ボクスターの上位グレード
ポルシェ718ボクスターGTS。2.5リッター水平対向4気筒を搭載する、718ボクスターSをベースとした上位グレードである。
新開発されたインテークダクトと合わせて、718ボクスターS比+15ps、先代GTS比+35psの、365psの最高出力を実現。最大トルクは430Nm/1900〜5000rpmとなる。
スポーツクロノパッケージ、リア・ディファレンシャル・ロックを備えたポルシェ・トルクベクトリング・プラス(PTV Plus)、車高を10mm低く設定するポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメントシステム(PASM)などが標準装備だ。
GTS「お約束」のポイント
GTSモデルならでは魅力は内外装の変化にもある。フロントには新しいスポーツデザイン・エプロンが備わる。これにより全長は6mm長い4385mmとなった。
フロントライト・モジュールとバイキセノン・ヘッドライトはGTSモデル特有のブラックに着色された。
ロゴやリアエプロンはブラックに塗り分けられ、スポーツエグゾースト・システムのマフラーエンドもブラックに。20インチホイールもブラック(サテンフィニッシュ)に、ドア下部のGTSもブラックになっている。
標準装備のスポーツシートのセンタートリムはアルカンターラが組み合わされ、ヘッドレストにはGTSの刺繍があしらわれ、アルカンターラはステアリングホイールトリム、センターコンソール、アームレストにも貼り込まれる。
ダッシュボード中央にはスポーツクロノパッケージのストップウォッチ/時計が鎮座し、ポルシェ・トラック・プレシジョン・アプリ(PTPA)によって、スマートフォン上でのドライビングデータの自動記録、表示、および分析も可能である。
MTで「ポルシェ使い」に
スポーツシートの、ハードコアすぎず、やわらか過ぎぬ座り心地に感心しながら、アルカンターラ巻きのステアリングをサワサワと愛でつつスイッチをひねると2.5リッター水平対向4気筒が即座に目覚めた。ドコドコと大太鼓のように、腹の底が震えるような低音。短い排気管のなかでよく響いている印象だ。
1速、アクセルを踏むことなくクラッチペダルを少し戻すだけでトルキーなパワートレインが軽い車体を前に進める。最大トルクの発生回転は1900〜5500rpm。あまり回転を上げずに淡々とシフトアップしても、市街地ならばストレスなく走らせることができる。
道が空いた。意図的にエンジンを回してやると、音やエンジンスペックから想像するよりもはるかに淀みない回転フィールに驚く。自然吸気のエンジンのように高らかに回ることはないが、それでもアクセルの「つき」はよく、よくある「自然吸気信奉」が古い価値観のように思えてくるから不思議だ。
ステアリング上のモード切り替えダイヤルでスポーツ/スポーツプラスを選ぶと、シフトダウン時にスパスパと回転を合わせてくれる。PDKのあっけないほど瞬時に終わるシフトダウンも素晴らしいが、まるで自分が「ポルシェ使い」になったかのような感覚になれるオート・ブリッピング機能も乙だ。
このあと718ボクスター4.0という、自然吸気フラット6搭載のモデルも加わるが、エンジン単体重量の軽さのおかげか、車体の動きがこちらのほうが明らかに小気味よい。
また乗り心地にもよほどのことがない限り不満はでないだろう。
ミドシップらしい人馬一体感、ポルシェらしい質実剛健さ、GTSらしい内外装。それにボクスターは屋根も開く…。
完全バランス。ボクスターGTSはいつの時代も良いところ取りだ。
SPEC
ポルシェ718ボクスターGTS
- 年式
- 2018年式
- 全長
- 4385mm
- 全幅
- 1800mm
- 全高
- 1270mm
- ホイールベース
- 2475mm
- 車重
- 1450kg
- パワートレイン
- 2.5リッター水平対向4気筒ターボ
- トランスミッション
- 6速MT
- エンジン最高出力
- 365ps/6500rpm
- エンジン最大トルク
- 420Nm/1900-5500rpm
- タイヤ(前)
- 235/35ZR20
- タイヤ(後)
- 265/35ZR20