レクサスGS F(FR/8AT)ラストチャンス?

輸入車びいきのわれわれレセンス視点だと、たしかに気にならないところがないといえば嘘になるレクサスGS F。しかし、である。この存在自体がありがたいのだ。

輸入車びいきのわれわれレセンス視点だと、たしかに気にならないところがないといえば嘘になるレクサスGS F。しかし、である。この存在自体がありがたいのだ。

レクサスが生んだ「GS」

必然的に輸入車の登場が多くなってしまうレセンス・メディア。今回はめずらしく日本車。しかし、やはり、特別なモデル。レクサスGS「F」である。

このレクサスGSは、通算4代目にあたる。日本でいうところの「アリスト」から世代交代を続けており、ここ日本における登場は2012年。資料によると「今後のレクサスの方向性を象徴する」という責務を与えられた。

「ひと目でレクサスとわかる先進かつ洗練されたデザイン」、「エモーショナルな走り」、「ハイブリッドを軸とした先進・環境技術」の3点が存在の柱となっている。

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以後、2〜3年に1回の間隔で改良やグレードの整理が実施される。

しかしセダン人気の衰えからは逃げ切れなかった。2020年に販売終了。後輪駆動を廃止、前輪駆動のES300hが事実上、間接的な代替車種となった。

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今回の主役、GS Fの登場は2015年だった。「F」というのはレクサス内のスポーツモデルを意味する。「日常からサーキットまで、誰もがシームレスに走りを楽しめる」という哲学を掲げ、頂点はLFA→RC F/GS F→ライトにサスチューンなどを施したFスポーツモデルで構成されている。

GS Fが、標準のGSとどのように異なるのか。次項で見ていくことにしよう。

レクサスGS Fの違いは?

2007年に発売されたIS F以来8年振りのFモデル・セダンとなったGS F。心臓部は自然吸気の5リッターV型8気筒だ。吸排気バルブの開閉タイミングを制御する「VVT-iE」を最適化するなどして、477ps/7100rpmと530Nm/4800-5600rpmを生み出すに至った。エンジン組み立て後に一基ずつ回転バランスを調整しているという。組み合わせるトランスミッションは8速オートマティック。最短0.1秒の変速が可能だという。

レクサスGS F(FR/8AT)ラストチャンス?
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ボディも見直された。レーザー溶接、スポット打点の増し打ちに加え、高剛性ガラス接着剤、レーザースクリューウェルディングなどの技術投入を果たす。またフロントブレース、リアボディブレースの剛性向上、ボディとの締結構造の追加などを実施。いずれもサーキット走行への対応を目指した。

サスペンションはジオメトリーの最適化を狙いパーツを新設計された。フロント:アルミ対向6ピストン、リア:アルミ対向4ピストンモノブロックキャリパーを採用したブレーキは、マスターシリンダーの大径化、ペダル比の最適化を果たした。

レクサスGS F(FR/8AT)ラストチャンス?

ようするに、本気でGSから作り変えたことになる。その走りはどうだろう?輸入車を主にあつかうわれわれの視点でレビューしたい。

ラストチャンスか?

眼の前に佇むGS Fが頭の中の記憶よりも上品に映るのは、そのボディ色だろう。ブルーやオレンジなど派手なカラーのほか、ホワイトのイメージが強く、少しだけゴールドが混ざったようなシルバーカラーを身にまとうGS Fはいかにも控えめで好感が持てる。

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しかし、リアの4本出しマフラーやL字型のサイドエアアウトレットなど、「ふつうではない」と感じさせるディテールに目が行く。

レクサスGS F(FR/8AT)ラストチャンス?
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シートに腰を下ろすとフロントシートのホールド性の高さに気づく。走りを想起させる。シフトノブの「D」や「R」が塗り分けされていたり、インフォテインメントシステムのフォントがトヨタ的だったりと、細かいところは「ああ国産車に乗っているな」とちょっとばかし興ざめするが、意匠のダイナミックさや革やステッチの質感は高いと感じた。

レクサスGS F(FR/8AT)ラストチャンス?
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5リッターV8エンジンは、野太く、ドライなサウンドを響かせる。530Nmの強大な最大トルクは4800rpm以上で得られるため、比較的高回転域寄りの走らせ方になる。回転フィールは思いのほか軽い。原音と調整音でサウンドメイキングをおこなうアクティブサウンドコントロールのおかげで、車外でも室内でも耳を楽しませてくれる。

180kmほどの高速道路が主体となった今回の試乗では、外乱に惑わされない車体のフラットさや、機敏なハンドリングなど、どちらかというとスーパーカー的な身のこなしにも驚かされた。

レクサスGS F(FR/8AT)ラストチャンス?
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どことなくドイツ勢の「厚み」に至らないと感じさせるのは、ブレーキング時のペダルの剛性感や、あえてざらついた路面を走らせるとルーフまでビビらせてしまう振動などの、細かな感触だろう。細かな所に磨きがかかれば、質感はさらに向上するだろう。

とはいえいずれも「輸入車びいき」の視点と言われればそこまで。エンジンの高い実力と、性能/実用性のバランスは日本車の中でトップクラスにあることは確か。またこんなエンジンを新車で味わうことは、この先ほとんど難しいに違いない。

レクサスGS F(FR/8AT)ラストチャンス?
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そこを考えると、日本メーカーが、それもレクサスが、GS Fという車を生み出したという事実は、歴史のハイライトになるはずだ。

レクサスGS F(FR/8AT)ラストチャンス?

SPEC

レクサスGS F

年式
2017年
全長
4915mm
全幅
1855mm
全高
1440mm
ホイールベース
2850mm
車重
1830kg
パワートレイン
5リッターV型8気筒
トランスミッション
8速AT
エンジン最高出力
477ps/7100rpm
エンジン最大トルク
530Nm/4800-5600rpm
タイヤ(前)
255/35 ZR19
タイヤ(後)
275/35 ZR19
メーカー
価格
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