アルピナD3ビターボ(FR/8AT)約束された「知的な走り」

アルピナD3ビターボのカタログには、「知的な走りを約束します。」と書かれている。知的な走りとは、どんなものを指すのだろうか?走らせて表現を理解した。

アルピナD3ビターボのカタログには、「知的な走りを約束します。」と書かれている。知的な走りとは、どんなものを指すのだろうか?走らせて表現を理解した。

いまや一世代前のアルピナ

F30型3シリーズのアルピナ版がドイツで発売されたのが2013年。セダンのF30型に並び、ステーションワゴンのF31型も華を添えた。アルピナをセダンをリムジン、ステーションワゴンをツーリングと呼ぶのはご存知の通り。

アルピナはもともとディーゼルに熱心な自動車メーカーであり5シリーズをベースとしたD10ビターボがデビューしたのは1999年のこと。3シリーズをベースとするD3は、先代(E90)に続いて2代目となる。

アルピナD3ビターボ(FR/8AT)約束された「知的な走り」

3リッター直列6気筒につくツインターボは、大小2基の可変ジオメトリー付きのターボだ。ベースとなるエンジンはN57D30型と呼ばれるもので、同時期の日本マーケットにはX5 35dのみが搭載していた。

発揮するパワーとトルクは350ps/4000rpm、700Nm/1500-3000rpmを生み出す。これが2.2tのX5 35dではなく、重量1.66tの車の心臓部となるのだから、凄まじい。

アルピナD3ビターボ(FR/8AT)約束された「知的な走り」

トランスミッションは8速AT(ZF 8HP70)。駆動方式はアルピナの3シリーズ枠では最後のFRとなる。0〜100km/h加速は4.6秒、0〜200km/h加速は18.0秒でこなし、巡航最高速度は276km/h。それでいて燃料消費率の公表値は17.0km/Lを記録している(JC08)。

ボディディメンションはM3などと異なり標準モデルと基本的に等しい。全長×全幅×全高は、4645×1810(右ハンドルは1800)×1445mmで、ホイールベースは2810mmだ。

アルピナD3ビターボ(FR/8AT)約束された「知的な走り」

知的な走りをお約束

エンジンスタートボタンを押すと、アクラポビッチ社と共同開発の排気システムから音が鳴る。アクラポビッチというブランド名から想像するよりもずっと穏やかで抑制の効いた低いビブラートの効いたような音である。

少しだけ重みのあるアクセルペダルを踏んだ分だけ、下からじんわりと、しかし力強いトルクが湧いてくる。同じく少しだけ重みのあるステアリングを切れば、やはり切った分だけ正確かつ滑らかにノーズが左右に振れる。

アルピナD3ビターボ(FR/8AT)約束された「知的な走り」
アルピナD3ビターボ(FR/8AT)約束された「知的な走り」

資料によると、どうやらバネ、電制ダンパー、バンプストッパー、スタビライザーはMスポーツのものを基本としており、それをアルピナが煮詰めているようだ。

結果、まったく硬いと感じることはなく、車体はふわりふわりと入力を受け流す。そしてその後のマナーが秀逸。伸びたアシは、短時間のうちにぐっと縮む。それは維持され、不必要な上下動は許さない。「やわらかいのに、落ち着く」と感じる理由だ。これが結果的に、湿り気のようなしっとり感をもたらす。タイヤを含めたセッティングの決めこみの妙。

これがシートのクッション感にも助けられ、臀部に伝わってくる感覚は、いわゆるアルピナライドそのもの。G型の世代になってずいぶんスパルタンになったと感じていた私は、F型のライドフィールを改めて素晴らしいものだと実感したのだった。

アルピナD3ビターボ(FR/8AT)約束された「知的な走り」

この時代のアルピナD3ビターボのカタログには「知的な走りを約束します。」と書かれている。どのモードであれ、根底にある「知的さ」を確かに実感できる。

ほとんどの車に負けぬ速さで、しかしそれを簡単に、快適に、軽やかに突き進みたいのであれば、このD3ビターボ以外になんの選択肢があるだろうか。

アルピナD3ビターボ(FR/8AT)約束された「知的な走り」
メーカー
価格
店舗
並べ替え