アウディRS7スポーツバック(4WD/8AT)パワーを技術でねじ伏せて

アウディRS7スポーツバック(4WD/8AT)パワーを技術でねじ伏せて

ひと世代前のアウディRS7スポーツバックに今試乗して感じるのは、生っぽさ、そしてパワーを技術力でねじ伏せる快感。個性あるデザインに包まれた記念碑的モデルだ。

アウディRS7スポーツバック

本世代のRS7スポーツバックが登場したのは2013年10月。RS5カブリオレ、RS6アバントと同時であった。RS7は、5ドアクーペのフォルムとハイパフォーマンスが共存する、といった立ち位置である。

アウディの100%出資子会社で、スポーツモデル開発生産部門「quattro GmbH(クワトロ ゲーエムベーハー)」が手掛けた。

めざすはブランドの3要素、「スポーティ」「洗練」「革新」の高レベルでの実現。

世界一過酷なル・マン24時間耐久レースを何度も制した経験、高性能エンジンやフルタイム4輪駆動クワトロシステムなど先進技術を受け継いだ。

パワートレインは全車共通ではない。RS5カブリオレが4.2リッターV型8気筒自然吸気であるのに対し、RS6アバント/RS7スポーツバックは4リッターV8ツインターボになる。

RS6とRS7は2016年7月にパワー増強を経た。デビュー当初より+45ps/+50Nm増強を果たし、605ps/700Nmに到達。短時間使用可能な「オーバーブーストモード」では、最大トルクは750Nmに到達する。0-100km/h加速は従来より0.2秒短縮し3.7秒となった。

21インチアルミホイールやミラーハウジングなどにマットチタンルックになるのも、2016年7月以降のモデルのポイントとなる。

パワーを技術でねじ伏せて

2019年9月にフルモデルチェンジした現行世代と比べると、外装デザインは、個性があると思う。特にリアへなだらかに落ちてゆくルーフがテールライト上端にかぶさる用におちる造形は、その後、他メーカーが影響を受けているように見えるほど個性的だ。

まずは「コンフォート」で走ると、605ps/700Nmという数字から無意識に想像するじゃじゃ馬感は皆無。「ふつうに走るじゃん」という呆気ない感覚で安心する。ふわりふわりと柔らかいわけではないが、適度にコシがあり、常にコントロール下に置ける。長距離も疲れ知らずだろう。

ダイナミックモードにすると、遠くで唸っていた排気音が、かなり直接的なものになる。いかにもV8らしい、野太く低い音だ。この差は、他のどの車よりも大きいと感じる。

乗り心地はがっしりと硬くなる。一方でかなり堅牢なシャシーとボディによって、ミシリとも悲鳴をあげることなく安心感がある。

ベースとなったモノコックが100kgも軽くなったとはいえ2050kgもある車重をいとも簡単に操れるのは、パワーに加えて、クワトロの巧みな制御や、リアの左右へのトルク配分を自在に変化させるリア・スポーツ・ディファレンシャルやDRC(ダイナミック・ライド・コントロール)付きスポーツサスペンンションによる所も大きいのだろう。

新しいモデルが出るたびに増強するパワーを、技術でねじ伏せていく。足るを知る、という言葉とは対極にある世界だが、この快感を味わうと、他には浮気できないかもしれない。

何より注目すべきは、新車価格1800万円強だったこの車を、今や500万円台(6万km前後)で味わえるという点ではあるまいか。

SPEC

アウディRS7スポーツバック

年式
2016年
全長
5010mm
全幅
1910mm
全高
1425mm
ホイールベース
2915mm
トレッド(前)
1640mm
トレッド(後)
1630mm
車重
2050kg
パワートレイン
4リッターV型8気筒ツインターボ
トランスミッション
8速AT
エンジン最高出力
605ps
エンジン最大トルク
700ps/6000rpm
サスペンション(前)
5リンク
サスペンション(後)
トラペゾイダルリンク
タイヤ(前)
275/30 R21
タイヤ(後)
275/30 R21
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価格
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