ポルシェ911カレラPDK(RR/7AT)911は本当にグランドツアラーなのか

ポルシェ911カレラPDK(RR/7AT)911は本当にグランドツアラーなのか

ポルシェ911(991.2型)の長距離試乗記。東京から京都へ一気に駆け抜け、911=グランドツアラーかどうかを確かめた。

991.2型のポルシェ911

2015年9月、ここ日本にも991世代の911、後期モデルが導入された。

いわゆる991.1世代から991.2世代になり、内外装のディテールが更新されたいっぽう、最大のポイントは完全に新世代となったツインターボエンジンへのスワップだろう。

カレラのリアに搭載されたエンジンは、20psアップの370ps、60Nmアップの450Nmに到達。1700rpmの低回転域からパワーを発揮する。最高回転数は7500rpm。従来のターボエンジンの最高回転数を大幅に上回る。

メーカー公表値によると、PDKとスポーツクロノパッケージ装着車は、静止状態から100km/hまで4.2秒で加速するという。これは先代−0.2秒の数値。カレラSは3.9秒。4秒切りのカレラシリーズは911史上初だ。

PASM(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)が再設計され、車高は10mm低く設定された。911カレラ全モデルに標準設定されるのも嬉しいニュースだ。ショックアブソーバーも新設計のものに置き換わっている。

強化されたパワーを受け止めるためにリアホイールの幅が0.5インチ拡大されて11.5インチになった。カレラSのリアタイヤ幅は、従来の295mmに代わって305mmになっている。

今回テストするのは、911カレラにPDKを組み合わせたもの。既に何度もタイトベンド連なる環境で動的性能はテスト済みだが、グランドツアラーとしての実力は?東京から京都までの500kmをテストすることにした。

グランドツアラーか?

筆者が東京を出たのは朝4時。渋滞を可能な限り避け、お昼までにはレセンスの本拠地がある京都に着いておきたいと思い出発した。

スポーツエグゾーストシステムを選ばぬ911のコールドスタート音は、まだ夢の中のご近所さんに過度に気を遣う必要はなかった。

低い水温でも、7速PDKは粛々と変速する。991.1よりも変速はなめらかで、ガチャガチャとギアがうごめいている感触もない。

テスト車は前:235/40 ZR19、後ろ:295/35 ZR19のアドバン・スポーツ・タイヤを履いていた。これはポルシェ指定OEタイヤだ。一般道では決してソフトではない乗り心地も、速度が高まるとしっとり落ち着いてくる。

ステア操作に対する反応は911のいつものそれで、決して機敏でもスローでもない。ピタッと思った通りに鼻先が向く。

そして肝心の3リッター水平対向6気筒エンジンは、低速からパンチがありながらも、その最大トルクが5000rpmまで続く。なめらかに回る。空冷ポルシェのサウンドに似ている。

楽しいし、疲れない。脳は覚醒しているけれど、フィジカルはリラックスしている。911に乗ったときのいつもの感覚である。

もうひとつ。テスト車にオプション装着されたACCは優秀だった。予想を裏切ったり、乗客を恐怖に貶めることは一切なかった。

ついぞ私は、1秒も休憩することなく、気づいたら京都にいた。さらにそれから峠道に行き、レセンス編集部員と911特有の「ハマったら最高に気持ちよく走らせられる」快感に浸りさえした。

低い速度でも高い速度でも、九十九折でもモーターウェイでも。

正真正銘のグランドツアラー。ポルシェ911は、今回も私たちを夢中にさせてくれた。

SPEC

ポルシェ911カレラ

年式
2017年
全長
4505mm
全幅
1835mm
全高
1295mm
ホイールベース
2450mm
トレッド(前)
1540mm
トレッド(後)
1520mm
車重
1470kg
パワートレイン
3リッター水平対向6気筒ツインターボ
トランスミッション
7速AT
エンジン最高出力
370ps/6500rpm
エンジン最大トルク
450Nm/1700-5000rpm
サスペンション(前)
ストラット
サスペンション(後)
マルチリンク
タイヤ(前)
235/40 ZR19
タイヤ(後)
295/35 ZR19
メーカー
価格
店舗
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