フェラーリ・ポルトフィーノを、カリフォルニアTと比べざるを得ない。そして見えてくるのは、全領域における完成度の高まり。そして一部は突出している点だ。
ボア×ストローク=86.5×82mmの3.9リッターV8ターボは、給排気の改良で40psと5Nmの強化を果たす。600ps/7500rpm、760Nm/3000-5250rpm。中でも最大トルクはカリフォルニアT世代で755Nmを4750rpmで発生した。低回転の厚みと+500rpmの拡幅も走りに影響を与えるだろう。
ステアリング上にある赤いボタンを押すとエンジンが目覚めた。低く、太く、荒々しく、シートを介して排気の振動が伝わってきた。
アクセルを踏み続け、前進していると、2000rpmあたりからひと段落音量が増す。4000rpmを超えると音が高くなる。加速はまっすぐ伸びる太い大木のように揺るぎない。ターボの魅力だなと感心する。マネッティーノのスイッチをカチリと切り替えスポーツモードにすると、さらに音の抜けが良くなる。
乗り心地は明確によくなっている。車体全体にまとまりが増した。重心高が下がり、トレッドが大きくなったような安定感がある。剛性増も、遥かに効いている感触がある。屋根を開けても対角線方向の捩れは感じない。
E-Diff3/F1-Trac/EPS等の統合電子制御にも磨きがかかっているというが、これは正直、京都の街中を流したていどではわからなかった。またチャレンジする日を待ちたい。
さらにアクセルを踏み込むと、継ぎ目のない怒涛の加速。フェラーリの中ではGT的位置づけにあるが、世の中ではスーパーカーである。ステア操作にやや過敏気味にノーズが動き、緊張感はクライマックスに。
硬軟両面を合わせ持つフェラーリが、このポルトフィーノである。
SPEC
フェラーリ・ポルトフィーノ
- 年式
- 2018年
- 全長
- 4586mm
- 全幅
- 1938mm
- 全高
- 1318mm
- ホイールベース
- 2670mm
- トレッド(前)
- 1630mm
- トレッド(後)
- 1640mm
- 車重
- 1664kg
- パワートレイン
- 3.9リッターV型8気筒ターボ
- トランスミッション
- 7速AT
- エンジン最高出力
- 600ps/7500rpm
- エンジン最大トルク
- 760Nm/3000-5250rpm
- サスペンション(前)
- ダブルウィッシュボーン
- サスペンション(後)
- マルチリンク
- タイヤ(前)
- 245/35 ZR20
- タイヤ(後)
- 285/35 ZR20