レンジローバー・スポーツSVR(4WD/8AT)コタツでいただくアイスの旨さ

レンジローバー・スポーツSVR(4WD/8AT)コタツでいただくアイスの旨さ

レンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディションの試乗記。炸裂する5リッターV型8気筒スーパーチャージド・エンジンを安楽に味わうというギャップに酔った。

SV、SVR、SVO…

ひときわ変わった色のレンジローバー・スポーツだ。アボカドという名の外装色らしい。モデル名の末尾にはSVR。ジャパンSVエディションなる仕様だという。特別な車なのだ。

「SV」とは、スペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)から来ている。要するに技術面/デザイン面で、ランドローバー(とジャガーも)を更なる高みへ持ち上げる、同グループ内の組織のことである。

ジャパンSVエディションは、特別仕様車であることを意味する。上記SVOがデザインを手掛け、アボカド/SVビスポーク・グレイ/ロランジュ(オレンジ・メタリック)の3色が日本に導入するのは初めてのこと。

内装はすべてエボニーとシーラスと呼ばれるカラーのツートーン仕立てだ。ヘッドレストに「SVR」の刺繍、ドアを開けたBピラーに「SV BESPOKE」のエンブレムの他「ONE OF 25」と書かれたエンブレムもある。

「ONE OF 25」と書かれる通り、合計25台。アボカドは9台のみの設定となる。

この上ない上質さ

レンジローバー・スポーツSVRは、5リッターV型8気筒スーパーチャージド・ガソリン・エンジンをカーボン製ボンネットの下に収めている。アルミ製ブロックは、575psと700Nmを叩き出す。

「ランドローバー史上もっとも速く、もっともパワフル」とランドローバーは言う。

0-100km/h加速は4.5秒。全長×全幅×全高:4880×1985×1800mm、ホイールベース:2920mm、車両重量2450kgというサイズ感を考えると、ガソリン車の世界においては驚異的な加速力と言えるだろう。

インテリアで目を引くのはバケットシートさながらのヒーター&クーラー付きシートである。大柄なSUVとのギャップが新鮮だ。革はあくまでスムーズで、削り出したアルミ素材も美しい。スライディング・パノラミック・ルーフ(ガラス)が車内を明るくする。

上質、とはこの車の為にある言葉だとさえ思える。どこに触れても柔らかく、なめらかで、さすがはレンジローバーだと感じるのだ。

バッチン!バチン!

エンジンが目覚めた瞬間、動く高級リビングをこれから楽しもうと、リラックスしていた体が鞭打たれ、目覚め、覚醒した。

ゴロゴロゴロと車体後方から轟音が響いている。周囲にこだましている。

アクセルを恐る恐る踏むと、音はさらに大きくなる。重量級のボディは、その重さをパワーで砕くかのように嬉々として前に進む。

豊かなトルクの盛り上がり方は、それでもなめらか。踏めば踏むだけ車体が進み、これだけパワーがあるにも関わらず、不思議なほど怖さがない。

バケットタイプのシートも見た目とは裏腹に快適で、体にフィットしてくれる。

22インチのアロイホイールを組み合わせるにもかかわらず、乗り心地もやわらか。これは全モードを通じて変わらない。

大きな画面でダイナミックプログラムを選ぶ。エンジン/トランスミッション/ステアリング/サスペンションがさらに引き締まる。大きな車体は一体感を増す。大きく加速しブレーキをギュッと踏むと、バッチン!バッチン!とアフターファイヤー。この車の音?と疑うほどの盛大なサウンドを披露してくれた。

快適な破壊的行為

終始感心するのは、強大なパワーを得ながら、走りは「レンジローバー」として求められる安楽さをまったくスポイルしていない点だ。

コマンドポジションで湧き上がるパワーを楽しむ行為は、ヒーターをマックスの状態にして真冬のオープンエアを楽しむような、あるいはコタツでいただくアイスクリームのような、ギャップありきの快楽に感じられる。

多くのメディアの論調と異なり、電力推進派でも反対派でもないわれわれは(きっと電気自動車の時代になったとしても、心の底から楽しむ術を見つけられるだろうけれど)、ただただ低いギアを維持しながらガソリンを燃やし、炸裂する音を味わい続けるのだった。

そしてこの破壊的行為を、いつものレンジローバーの乗り心地そのもので味わえることこそ、SVRにしかない魅力だと思った。

SPEC

レンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディション

年式
2022年
全長
4880mm
全幅
1985mm
全高
1800mm
ホイールベース
2920mm
トレッド(前)
1690mm
トレッド(後)
1690mm
車重
2420kg
パワートレイン
5リッターV型8気筒スーパーチャージド
トランスミッション
8速AT
エンジン最高出力
575ps/6500rpm
エンジン最大トルク
700Nm/3500-5000rpm
サスペンション(前)
ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後)
マルチリンク
タイヤ(前)
275/40 R22
タイヤ(後)
275/40 R22
メーカー
価格
店舗
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