ジャガーEタイプには、いつも感動させられる。それが50年を経ようとした今であっても。隙のない美しさと揺るがぬグランドツーリング性能は、多くの人を虜にした。
シリーズ1〜2
ジャガーEタイプがデビューしたのは1961年、ジュネーブモーターショーでのことだった。最高速240km/h。流麗なボディの下に3.8リッター直列6気筒エンジンをもつこの車はすぐさま憧れの的になった。いわゆるシリーズ1と呼ばれる世代だ。
3年後の1964年、いくつかの課題を克服したマイナーチェンジ版がデビューする。外観こそ大きな変化はなかったが、直列6気筒ユニットは4.2リッターまで拡大。トルクがアップした。内装材も見直され、総じて快適性が高まる。66年には、ホイールベースを伸ばし後席が加わる「2+2(ツー・プラス・ツー)」と、屋根の開く「ロードスター」が加わる。ATも選べるようになった。
翌年からたったの1年、シリーズ1とシリーズ2の間にある、シリーズ1 1/2が存在したことも忘れてはなるまい。
シリーズ1は7年間を通して、穏やかな、しかし着実な改良を受けたのだった。
1968年、シリーズ2へとモデルチェンジした。エンジンは4.2リッターがそのまま引き継がれるが、米国仕様のキャブレターはSUからゼニス・ストロンバーグ製になる。また外観も衝突安全を意識したものになる。いずれも時代に適合するために不可避であった。とはいえ、シリーズ1時代の問題は大幅に払拭された。実用性が高まったモデルといえる。
何よりやわらかいサスペンション。ふかふかのシート。60年代〜70年半ばにかけて、既にこんな車があったことに驚くばかりだ。
サイドミラーから見えるセクシーなリアフェンダー。飛行機のコックピットの如くたくさんのスイッチが並んだ上品な(ちょっとだけアメリカンでもある)インパネをドライバーズシートから見つめると、何ともいえない充足感が湧き上がってくるのだ。
これに乗って、旅に出られたらなと思わずにはいられない。
SPEC
ジャガーEタイプ・クーペ・シリーズ3
- 年式
- 1976年
- パワートレイン
- 5.3リッターV型12気筒
- トランスミッション
- 4速MT
- エンジン最高出力
- 272ps/5850rpm
- エンジン最大トルク
- 412Nm/3600rpm