2リッター4気筒ターボを憂うことなかれ。ジャガーFタイプ・クーペP300には、そのグレードにしかない愉しさと、味わいが宿っていた。敢えて選ぶモデルである。
INDEX
2リッター4気筒のFタイプ
レセンス編集部がジャガーFタイプにトライするのは今回で二度目。初回はP340と呼ばれるグレードで、これは3リッターV型6気筒スーパーチャージャーユニットを搭載していた。内外装は評判通り。その上V6のバランスや、快適性を評価している。
ジャガーFタイプ・クーペP340(FR/8AT)しなやかなアスリート
今回の主役はP300と呼ばれるモデルだ。2018年、内外装の小変更とともに誕生。なんといっても大きなトピックは2リッター直列4気筒ターボを搭載している点だ。
世の中の反応をみるに、スポーツカー=多気筒大排気量という価値観が強く残っている向きも多く、ネガティブな捉え方をしている声もあった。実際はどうだろう?と考えたのが、今回取り上げる理由である。
走り始める前に、この車についてもう少し調べてみることにしよう。
内装でもっとも分かりやすいポイントは、センターコンソール上に鎮座する新しいインフォテインメントシステムだ。2018年モデルよりも前は8インチであったのに対し、2018年モデルは10インチに。タッチ操作が叶い、動きもサクサクしている。
後は目に見て分からない部分!シートフレームがマグネシウム製になった。軽量化を果たしたとジャガーは説明している。
2リッター4気筒モデルが加わった事により、それ以前の入口価格が823万円であったのに対し、794万円にまで引き下げられた。
この長いボンネットを開くと、2リッター直列4気筒は、6気筒以上のパワートレインに比べると明らかにコックピット側に寄っているように見える。だからといって、例えばVWグループの車のように、小さなエンジンが載った途端「スカスカ」に見えるといった感じはしない。視覚的な配慮も見て取れた。
一方の走りへの影響は明白だった。さほど神経を研ぎ澄ませずとも、ノーズの軽さはすぐに分かる。もともと鋭敏に仕立てられたFタイプのステア特性ではあるけれど、4気筒はこれに軽やかさが増す。
ロングノーズの前半分がすっかり無くなったような、とでも言おうか。軽くスッキリした動きに最初は驚き、すぐに好感を持てた。
またFタイプの長所である足捌きの良さも健在。これなら一気に500kmくらい思いつきで走ってもいいな、と思えたのだった。
耳に届く音は、低速域では低く野太い。回転を高めていくと切れ味の鋭い、軽快なサウンドに変わる。もっともターボであるから常にレブリミットに当てながら走るというよりも、低〜中回転域を上手に使いながら走る方が理に適っているけれど、高回転域に目も当てられない、ということは一切ない。
SPEC
ジャガーFタイプ・クーペP300
- 年式
- 2018年
- 全長
- 4480mm
- 全幅
- 1925mm
- 全高
- 1315mm
- ホイールベース
- 2620mm
- トレッド(前)
- 1600mm
- トレッド(後)
- 2650mm
- 車重
- 1660kg
- パワートレイン
- 2リッター直列4気筒ターボ
- トランスミッション
- 8速AT
- エンジン最高出力
- 300ps/5500rpm
- エンジン最大トルク
- 400Nm/1500-4500rpm
- サスペンション(前)
- ダブルウィッシュボーン
- サスペンション(後)
- ダブルウィッシュボーン
- タイヤ(前)
- 245/40 ZR19
- タイヤ(後)
- 245/40 ZR19