アウディTTはアウディの歴史上、欠かしてはならない車に3世代を通じてなった。その理由は内外装のデザインに集約される。各世代を振り返り、デザイン、走りを見つめる。
同年、量産が決定する。スタディモデルからプロダクションモデルへの移行は、別のデザイナー(トルステン・ヴェンツェル)に白羽の矢が立つ。「数多くの技術仕様を細かく調整する必要がありました」とした上で「メディア各社は、デザインが大きく変わらなかったことを高く評価してくれました」と語る。
もっとも大きな変更点は、リアのサイドウインドウが追加されたことだった。スポーツカーとしてダイナミックな見た目を手にした。彼にとってTTは「最高品質のボディとラインを備えた走る彫刻作品」だったという。「ボディは1つの大きな塊から削り出されたように見え、従来のバンパーオーバーハングの無いフロントエンドが、クリアなフォルムを強調しています」と説明する。
デザイン要素は「円」だった。ヴェンツェルはデザイナーとして、円を「完璧なグラフィック形状」と捉える。インテリアのデザインにも数多くの円形要素が見られる。
また全てのラインに目的があるという。ヴェンツェルの発言を追っていくと、「Less is More=レス・イズ・モア」という言葉をしばしば用いることが分かる。「より少ないものは、より豊か」。「シンプルなデザインを追求することで、より美しく豊かな空間が生まれる」と説いたのはドイツの建築家、ミース・ファン・デル・ローエだ。ヴェンツェルは「本質的なところまで削減することで、TTのユニークなキャラクターを引き出しています」という。ヴェンツェルにもまたバウハウスの精神が息づいているのであった。
SPEC
アウディTTクーペ
- 年式
- 2017年
- 全長
- 4180mm
- 全幅
- 1830mm
- 全高
- 1380mm
- ホイールベース
- 2505mm
- トレッド(前)
- 1570mm
- トレッド(後)
- 1550mm
- 車重
- 1320kg
- パワートレイン
- 2リッター直列4気筒ターボ
- トランスミッション
- 7速AT
- エンジン最高出力
- 230ps
- エンジン最大トルク
- 370Nm/4300rpm
- サスペンション(前)
- ストラット
- サスペンション(後)
- 4リンク
- タイヤ(前)
- 245/35 R19
- タイヤ(後)
- 245/35 R19