2台のポルシェ911カレラがある。991.1世代と991.2世代だ。2台に共通するマニュアル・トランスミッション。世代をまたぎつつMTならではの愉しみを見出す。
INDEX
全体のフィーリィングの違いに注意しつつ、MTを駆る愉しみにどう影響し、今MTを選択する価値があるか、ということが知りたい。
トランスミッションは
まずは991.1ならびに991.2が搭載するマニュアル・トランスミッションがどのようなものであるかを解き明かそうではないか。
実はこの世代、PDK(デュアルクラッチAT)とMTの機構はほとんど同じである。PDKをあれこれしてMTにしたと言っていい。
事実、約75%はPDKとMTで同じパーツを使っている。
ただし、そもそもPDKのギア配列が一般的なHパターンとは異なる。ZFの資料によると、PDKの配列では、左上が6速、その下が4速、次がリバース、下が2速といった具合になってしまうのである。
これをMeCoSa(メカニカル・コンバーテッド・シフティング・アクチュエーション)で、「ふつうの」Hパターンに変換している。もっとも大きな箇所としては、ここの変更点だ。
その上、リアにエンジンがあり、リアを駆動するポルシェ911は、シフトケーブルを用いて動作する。このあたりもシフトフィーリングを左右するポイントである。
1速、2速、3速。シフトアップしていくと、991.1と991.2の間に生じる世代間の違いがピュアに浮き彫りになった。
どちらも楽しく官能的である。これだけは断言できる。
最後に1つ。リバースに入れる際の動作(=左にぐいっと倒して左前にインサートする)は、右ハンドル仕様では、力加減や感触ともに違和感を感じた。ここだけはどうしても書き加えておきたい。
やることが増える歓び
それぞれの違いが、MTという共通のツールのおかげで見いだせた。最後にMTならではの魅力はあるのか?である。
AT全盛の今、そもそもMT搭載車に乗るという行為そのものが特別なものであろう。普段の足車を伴う2台持ちも想定されるクルマだけに、休日だけMTということも有りうる。
アイドリングからのクラッチミート、シフトチェンジ時のクラッチミート、回転に耳を澄ませ慎重に操作…。リズムが掴めるまでに少し時間がかかるかも知れない。PDKの巧みな変速を体験すると、自分は何をしているのだろうと思うことさえあるだろう。
しかしタイミングをピタリと合わせれば、MTでしか得られない達成を味わえる。
SPEC
ポルシェ911カレラ
- 年式
- 2014年
- 全長
- 4500mm
- 全幅
- 1810mm
- 全高
- 1305mm
- ホイールベース
- 2450mm
- トレッド(前)
- 1530mm
- トレッド(後)
- 1520mm
- 車重
- 1410kg
- パワートレイン
- 3.4リッター水平対向6気筒
- トランスミッション
- 7速MT
- エンジン最高出力
- 350ps/7400rpm
- エンジン最大トルク
- 390Nm/5600rpm
- サスペンション(前)
- ストラット
- サスペンション(後)
- マルチリンク
ポルシェ911カレラ
- 年式
- 2017年
- 全長
- 4505mm
- 全幅
- 1835mm
- 全高
- 1295mm
- ホイールベース
- 2450mm
- トレッド(前)
- 1540mm
- トレッド(後)
- 1520mm
- 車重
- 1450kg
- パワートレイン
- 3リッター水平対向6気筒ターボ
- トランスミッション
- 7速MT
- エンジン最高出力
- 370ps/6500rpm
- エンジン最大トルク
- 450Nm/1700-5000rpm
- サスペンション(前)
- ストラット
- サスペンション(後)
- マルチリンク