スズキ・ジムニー(4WD/4AT)笑顔になれる軽

スズキ・ジムニー(4WD/4AT)笑顔になれる軽

スズキ・ジムニーに乗ると、いつの間にか笑顔になっている。ほのぼのキャラと頼れる性能を、いじらしい見た目で包むこの車だからこそだ。歴史さえ遡る楽しみがある。

「レセンス」にスズキ・ジムニー

スズキ・ジムニーがなぜ「レセンス」に?そう思う読者の方々も少なくないかも知れない。

一方で我々レセンス編集部にとっては、ごく自然なことであると思っている。趣味性が高く、歴史や背景を読み解く楽しみのある「自動車」であれば、出生地に区別などない。

むろん、結果的には、いわゆる「輸入車」がその対象になり易いことは認めざるを得ないけれど、基本的には出生地にとらわれないスタンスだ。だからスズキ・ジムニーをテストすることに迷いは無かったのだった。

とはいえレセンス読者諸兄はどちらかというと「輸入車寄り」の趣向が強いことはメディアの特性上じゅうぶんに考えうる。だからまずはスズキ・ジムニーの概要について触れておこう。

ジムニーの由来とそのヒストリー

スズキ・ジムニーは、1970年に日本で産声をあげた。オフロードの走破性を持ち合わせた四輪駆動の軽自動車である。のちにジムニー・シエラという兄弟車種も加わっている。

車名はミニ・ジープという意味合いが込められており、「Jeep」「mini」「tiny」が掛け合わされた。シエラは「山脈」を意味する。

初代は1970年〜1981年、2代目は1981年〜1998年、3代目は1998年〜2018年、4代目は2018年〜。およそ10年ごとに代替わりする。

本稿で触れるのはその4代目。2018年6月に事前情報が発表され、翌月には正式にフルモデルチェンジが発表された。

目標販売台数は3000台/月であったのに対し、受注は5倍を記録。長くて数年待つカスタマーも少なからずいたのだった。

内外装におけるジムニーの特徴は

4代目ジムニーの外観は、初代/2代目のオマージュとして丸形ヘッドライトやウインカーを、3代目からは5つのスロットが入るフロントグリルを受け継ぐなど、過去のモデルを振り返る楽しみがある。私の周辺では男性も女性も好意的にデザインを受け入れており、男性は簡素で無骨な様を、女性はポップで親しみやすい様を取り分け気に入っているように思う。

発表年にはグッドデザイン賞のグッドデザイン・ベスト100に入り、グッドデザイン金賞を受賞している。スズキとしては初のことだ。

「美しい」というのは主に流麗さを表現する際に使われる事が多いが、ジムニーの場合は、機能美としての美しさを感じる。

内装もまた機能に沿う配置/意匠である。軽自動車、という規格のなかで、最大限に凝ったデザインを心がけていると感じる。

メカニカル要素のハイライトとしては、伝統のラダーフレームを今なお受け継いでいる一方で、Xメンバーとフレーム前後にクロスメンバーが追加される。車体とフレームを繋ぐゴムも大きくなっている。主に乗り心地への配慮だと考える。アシスト機能も追加されている。

ほのぼのと明るい気持ちになる軽

走り出してすぐに気づくのは乗り心地の改善である。決してふわりと柔らかいわけではない。頭だって細かく揺さぶられる。けれど当たりがマイルドになった。程よくラダーフレームの「味」を感じられる所が良い。

元気のよいエンジン音が車内に入って来るのも良い(それでもだいぶ小さくなった)。見晴らしも良い。見切りも良い。ジムニーらしさはちっとも失われていない。けれど全体が丁寧にブラッシュアップされている。

毎日高速道路で通勤するようなシチュエーションには向かないが、公道を走らせる限り、特有の癖はあれど、それを楽しめる範囲内である。

今回はオフロードを試してはいないけれど、勇敢な林道ランナーが日本中に多くいることを考えると、これまでがそうであったように「ヨンク」としての性能は高い。

ほのぼのとしたキャラクターと頼りがいがある性能を、いじらしい見た目で包み込んだジムニーに気がついたら惚れている。

明るい気持ちになれる軽。ハイトワゴンの価格への上乗せをじゅうぶんに正当化する。

SPEC

スズキ・ジムニー

全長
1795mm
全幅
1300mm
全高
1200mm
ホイールベース
2250mm
トレッド(前)
1270mm
トレッド(後)
1280mm
車重
1040kg
パワートレイン
0.66リッター直列3気筒ターボ
トランスミッション
4速AT
エンジン最高出力
64ps/6000rpm
エンジン最大トルク
96Nm/3500rpm
サスペンション(前)
3リンクリジッドアクスル
サスペンション(後)
3リンクリジッドアクスル
タイヤ(前)
175/80 R16
タイヤ(後)
175/80 R16
メーカー
価格
店舗
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