メルセデス・ベンツVクラスは、同社の中で最も居住性(=ユーティリティ)を重視したといえる。「らしさ」も重要視している。知っているようで知らないミニバンの世界だ。
INDEX
現行世代(W447=3代目)が発表されたのは2014年1月のこと。複数回マイナーチェンジを受けており、購入する年式によって主に安全装備の内容が異なっている。
次項で詳しく見ていくことにしよう。
細かなマイチェン継続的に
2019年10月に施されたマイナーチェンジ以降が、本テスト車を中心とした形態となる。
「レーダー・セーフティ・パッケージ」はオプションの扱いだった。先行車、前を横切る車両や合流してくる車両、歩行者、路上の物体などとの衝突の危険性を感知すると、ディスプレイ表示や音でドライバーに警告。必要だとシステムが判断したら、人間が踏んだブレーキペダルの効きを高めるようブレーキ圧が高まる(だがあくまで人間主体)。
アダプティブ・ハイビーム・アシスト・プラス(ハイビームの照射範囲を自動で制御)は標準装備。
レーダーで先行車を検知し追突リスクを低減する「アクティブ・ブレーキ・アシスト」や、車間距離を自動維持する「アクティブ・ディスタンスアシスト・ディストロニック」、ドアミラー死角の危険を警告する「ブラインド・スポット・アシスト」、車線逸脱をステアリングの微振動で警告する「レーン・キーピング・アシスト」などを含むシステムはオプションだった。
2020年7月には上記装備が標準となる。
くわえてMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)も標準装備に。ダッシュボード中央には10.25インチのワイドスクリーンと、自然対話式の音声認識機能が備わる。「ハイ、メルセデス」で起動するそれだ。
2021年7月には先述の安全運転支援システム「レーダー・セーフティ・パッケージ」に機能が加わる。これまでは後ろを横切る車があればドライバーに注意を促しブレーキの圧を高めていただけだったが、必要に応じて自動ブレーキを作動させるようになった(約0-10km/h)。
さらに2022年2月には、これまでの2.2リッター・ディーゼル(OM651)が2.0リッター(OM654)に切り替わり、トランスミッションも7ATから9ATに多段化された。
同年7月には、エクストラロングをベースにした「ブラックスイート」も加わっている。
毎年の性能改善と、仕様拡充を繰り返してきたというわけだ。
ただし前から見た印象が、アルファードほどスクエアに感じないのは、あの忌々しいフロントグリルとは異なる、メルセデス・ベンツらしいマスクだからだろうと考える。
SPEC
メルセデス・ベンツV220dロング
- 年式
- 2020年
- 全長
- 5150mm
- 全幅
- 1930mm
- 全高
- 1930mm
- ホイールベース
- 3200mm
- トレッド(前)
- 1670mm
- トレッド(後)
- 1650mm
- 車重
- 2420kg
- パワートレイン
- 2.2リッター直列4気筒ディーゼルターボ
- トランスミッション
- 7速AT
- エンジン最高出力
- 163ps/3800rpm
- エンジン最大トルク
- 380Nm/1400~2400rpm
- サスペンション(前)
- ストラット
- サスペンション(後)
- セミトレーリングアーム
- タイヤ(前)
- 245/45 R18
- タイヤ(後)
- 245/45 R18