「フェラーリ・ローマ・スパイダー」が登場。ソフトトップはパーソナライゼーションが可能で、その設計は、快適性と空力、デザインの為の緻密な設計の上に成立していた。
フェラーリ・ローマ・スパイダー
フェラーリ・ローマのオープントップモデル、フェラーリ・ローマ・スパイダーがマラケシュのエル・バディ宮殿で行われたクライアント限定のイベントで発表された。日本国内における販売価格は現時点で公式には発表されていない。
ソフトトップの採用は、1969年の365 GTS4以来、実に54年ぶりのこととなる。
ソフトトップには専用ファブリックやアクセントのステッチを含め、パーソナライゼーションのオプションが豊富に用意されている。2トーンの織りを4色から選べるのもポイントだ。
クーペのなだらかなファストバックのルーフラインを再現するため、リアスクリーンはソフトトップの一部とし、ルーフを開くときにトノカバーの下に折りたたまれるようになった。
機能面を見ると、ソフトトップはわずか13.5秒で開閉し、最高60km/hで走行中にも稼働できる。機構自体が極めてコンパクトなため、大きなトランク容量が確保されているという(ルーフ展開時にクラストップの255リッター)。
特許取得の新ウインド・ディフレクターは、リアのベンチシートのバックレストに組み込まれている。センタートンネルのボタン1つで作動し、車内のスペースをまったくとらない。
ソフトトップは緻密な計算の上に
ファブリック製ソフトトップの採用と、それによって間接的な影響を受けたボディワークのジオメトリーが、エアロダイナミクス開発の出発点となった。
フェラーリ・ローマの低ドラッグは変えずに、ダウンフォースを効率的に発生する能力を組み合わせるため、ルーフのラインと前方部分のカーブは、徹底的な数値解析を行ったという。
プロジェクトの目標が達成できるよう、エアロダイナミクス部門の主導で決められた。
フェラーリ・ローマ・スパイダーでは、ボディワークの変更によって、可動スポイラーにも新たなジオメトリーが必要となった。スポイラーはローマと同様に、ボディに作用する前後・左 右の加速度や車速に応じて展開・格納されるが、スパイダー特有のキャリブレーションが施されている。そのため、3種のポジションはルーフオープン時の走行に特別に合わせたものとなっている。
ウインドスクリーンのヘッダーレールには、気流が分離する部分に5mmのノルダーが設けられた。次に、停車せずにソフトトップを展開できる特許取得の自動ウインド・ディフレクターの開発に取り組んだ。
ウインド・ディフレクターを稼働させたいときは、センタートンネルにあるボタンを押すだけで、(後席乗員がいない場合)リアシートのバックレストが前席乗員の頭部の後ろに来るように回転する。
この位置を取ると、通常なら車両後方からキャビンへ巻き込まれる気流がそらされ、乗員の周囲には空気が比較的静止した空間ができる。長身のドライバーでも、従来のスパイダーに比べて、頭部周囲の乱流の抑制効果が約30%向上したという。
展開式ウインド・ストップの透過性を高めるため、中央部に横長の開口部を設けている。これは、空力ダクトとして作用するよう角度が調整されており、上から見ると両端が細くすぼまった形状をとる。
この2つのジオメトリーによって、キャビンに吹き込むどれほど強力な気流も、乗員から十分に離れたところでそらされるという。