1952年のRタイプコンチネンタル「JAS 949」からインスパイアされたコンチネンタルGTアズールの詳細とヒストリーを追う。
JAS 949が現代に蘇る
ベントレーモーターズは、Rタイプコンチネンタル「JAS 949」からインスピレーションを得たコンチネンタルGTアズールをワンオフ製作した。
Rタイプコンチネンタルは、1952年に発売された当時、4人乗りの高級サルーンとして世界最速を誇った。
この車の3つの主要なデザインライン(フロントホイールからのパワーライン、リアハンチ、ルーフライン)は、2003年の初代コンチネンタルGT、そしてそれ以降のすべてのコンチネンタルGTのインスピレーションとなる。
JAS 949は1953年12月、最初のオーナーであるスイスのローランド・グエィニン博士に引き渡された。アイボリーにレッドの内装、マニュアルギアボックスの仕様で、オリジナルの4.6リッターエンジンとともに今日まで受け継がれている。
Rタイプコンチネンタル
初代Rタイプコンチネンタルは、アイヴァン・エヴァーデン(チーフプロジェクトエンジニア)とジョン・ブラッチレイ(チーフスタイリスト)の発案によって開発された。
プロトタイプのOLG 490(愛称オルガ)は、パリ近郊のバンク付きサーキット、モンレヘリで5周して平均時速118.75マイル(ベストラップは120マイル弱)を記録した。
目標重量を達成するため、コーチビルダーであるHJマリナーは、ボディワーク、ウインドウフレーム、ウィンドスクリーン周囲、バックライト、シートフレーム、バンパーをアルミニウムで製作。
4566cc直列6気筒エンジンの出力は153bhpに引き上げられ、2tのクルマを時速115マイルで走らせた。
最初の生産モデルは1952年6月にオーナーのもとに届けられ、1955年の生産終了までに208台のRタイプコンチネンタルが作られた。
そのうち193台はHJマリナーによってボディが製作された。このほか、パーク・ウォード(ドロップヘッド4台、クーペ2台)、フラネー(5台)、グラバー(3台)、ファリーナ(1台)などが存在する。
現代モデルが受けた影響
JAS 949に最も近い仕様を現代に再現するため、新しいコンチネンタルGT V8 アズールは、1950年代のペイントカラーを忠実に再現したオールドイングリッシュホワイトにハンドペイントされている。
JAS949が16インチホイールであるのに対し、新型はオリジナルと同じくブラック&ポリッシュ仕上げの22インチ・ハンドフィニッシング・ホイールを装着している。
さらに、導管の目止めを行わずに仕上げたオープンポアのままのバーウォルナットは、JAS 949のパテント仕上げに近い質感を実現している。オープンポアパネルは、入手可能な最高の素材から厳選され、3層のラッカーで塗装され、その厚さはわずか0.1mm。ベントレーのハイグロスラッカーは0.5mmの厚さとなる。各層は手作業で塗られ、塗布の間にサンディングされるため、ラッカーが木材の自然な溝に確実に密着する。結果、ワックスのような仕上がりになり、木材の持つ本来の自然な色と質感を完璧に際立たせることができるという。
アイコニックな撮影場所
撮影場所となったバタシー発電所は、90年以上にわたってロンドンの象徴的なランドマークであり続けている。
1920年代後半に建設が開始され、1955年には発電所Bとランドマークとなる4本目の煙突が完成し、ピーク時にはロンドンの5分の1の電力を供給できるようになった。
1920年代にル・マンで成功を収め、クルーに工場を設立したベントレーモーターズは、1950年代にアイコニックなRタイプコンチネンタルを発表、成長および発展を遂げた。
この地区は、新型コンチネンタルGTアズールとJAS 949を一緒に撮影するのに最適な場所だとベントレーはいう。
車と場所の両方が、1950年代と現代の最高のものを体現しているとも。