BMW Z4 sドライブ20i(FR/8AT)鋭く、軽やかに

BMW Z4 sドライブ20i(FR/8AT)鋭く、軽やかに

BMW Z4が登場して20年。3代目になって、鋭く、軽やかになった。変わらぬコンセプトのなかでも取捨選択し進化してきた。今や、独自の立ち位置を確立した。

BMW Z4が歩んできた歴史

BMW Z4は、2023年の本稿執筆時点で3代目となる。初代は2003〜2008年(E85型)、2代目は2009〜2016年(E89型)、そして3代目が2019年から(G29型)販売されている。

基本コンセプトは2ドアオープン(初代にはクーペがあった)であり、ルーフトップは初代がソフトトップ、2代目はメタルトップに、3代目はソフトトップに戻っている。

この3世代目のコンセプトの披露は2017年、ペブルビーチ・コンクール・デレガンスでのこと。日本では2019年3月末に発表された。トヨタ・スープラとエンジン/シャシーが共通化されており、製造はオーストラリアで行われる。

ボディサイズは2代目と比較して全長は+85mm、全幅は+75mm、全高は+15mmの、4335mm×1865mm×1035mm。一方、ホイールベースは25mm短い2470mmとなる。

パワートレインは、2リッター直列4気筒ターボ(197ps/4500rpm、320Nm/1450-4200rpm)と3リッター直列6気筒ターボ(340ps/5000rpm、500Nm/1600-4500rpm)の2本立てとなる。

BMW Z4の内装と外装をみる

エクステリアはZ4らしいロングノーズ/ショートデッキを引き継いでいる。

一方で横基調だったヘッドライトは縦基調になる。キドニーグリルはメッシュ状のワイドな意匠。エンジンフードはクラムシェル型で、クラシックスポーツカーを思い起こさせる。

シャープな印象のフロント周りに対し、リアのシルエットは丸みを帯びグラマラス。水平方向に流れるプレスラインは低重心を表現する。

低重心なシルエットと呼応するようにルーフトップは小さく纏めあげた。オープン/クローズ時ともに281リッターの荷室容量は不変だ。

インテリアもエクステリアと呼応するスマートな空間となる。ドアトリムの造形はサイドボディの造形を模したものとなる。

ドライバーズシートに近いセンタートンネル上に、モード切替スイッチが並んでおり、走りに重きを置いた空間だと感じる。車体ゆえタイトな仕立てで運転に集中できる環境だ。

インフォテイメントは音声アシストやコネクテッドの観点から卒なく現代的である。

ポルシェ718ボクスターとの違い

今回私が気になったのはポルシェ718ボクスターとの走りの違いであった。Z4の新車価格が2リッターモデルの場合566〜775万円であるのに対し、ボクスターは807万円〜。2シーターオープンというパッケージでは遠い存在ではない。

BMW Z4は、特にステアリングの反応が鋭敏で、乗り心地は硬めだというのが第一印象。先代に比べて遥かに迅速になったシフトチェンジと相まって、低速域から小気味よく軽やかな身のこなしだと感じた。わかりやすく楽しい。

一方ポルシェ718ボクスターは、動きを機敏にすることに重きを置いていない。あくまでリニアリティ重視。王道をゆく。乗り心地は(標準ホイールの場合)しなやかな印象が強い。

また内装の質感は718ボクスターの方が高かった(素材/ボタン類の静的質感)。そして広い。

共通しているのはいずれも走りの楽しさをとことん追求した車であること、といった所だが、アプローチは随分異なる印象を受けた。

どちらに乗っても楽しいと断言できるが、Z4は初めてのスポーツカーオーナーに対してわかりやすいアピールになるはずだ。718ボクスターは玄人受けする。一定以上のペースで走るには、ミッドシップゆえの腕も求められる。

あとは価格差をどう捉えるか。2シーターオープンに求められる「楽しさ」に絞った観点であれば、正直に申し上げて価格差ほどの違いはない。するとZ4の存在が鮮やかに見えてくる。

SPEC

BMW Z4 sドライブ20i

年式
2019年
全長
4335mm
全幅
1865mm
全高
1305mm
ホイールベース
2470mm
トレッド(前)
1615mm
トレッド(後)
1610mm
車重
1490kg
パワートレイン
2リッター直列4気筒ターボ
トランスミッション
8速AT
エンジン最高出力
197ps/4500rpm
エンジン最大トルク
320Nm/1450-4200rpm
サスペンション(前)
ストラット
サスペンション(後)
5リンク
タイヤ(前)
225/45 ZR18
タイヤ(後)
255/40 ZR18
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価格
店舗
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