メルセデスAMG A45S 4マティック+エディション1(4WD/8AT)蝶のように舞い、蜂のように刺す

メルセデスAMG A45S 4マティック+エディション1(4WD/8AT)蝶のように舞い、蜂のように刺す

メルセデスAMG A45S 4マティック+は、内燃機関から電気に切り替わる今の時代の名作といえる高レベル・オールラウンダーだ。

Aクラスの歩み

ちょこんと丸く、愛らしいトールワゴンとしてメルセデス・ベンツAクラスが登場したのは、今から26年前の1997年。価格もパッケージもメルセデス・ベンツの意欲を投影していた。

初代(W168型)が1997〜2005年に発売され、2004年には2代目(W169型)が登場。2013年まで販売は続いた。

2012年からは3代目(W176型)が登場。背が低くなったのは、フロアのサンドイッチ構造を廃したから。サンドイッチとは文字通り、2階建てを表し、全面衝突時にエンジン/トランスミッションが床下に潜り込み、短い車体でも生存空間を稼ぐための構造を意味している。

2018年からは4代目(W177型)に置き換わる。3代目から引き続き、背の低いCセグメントハッチバックの姿勢だが、どこか牧歌的な3代目と異なり、睨みのきいたフェイスとなる。CLS(C257型)の影響を受けている。

2019年には、この記事の主役であるメルセデスAMG A45Sが追加発表される。本国にはA45も存在するが、日本ではA45Sのみ。正確にはA45S 4マティック+を名乗る。

詳しく見ていこう。

AMG A45Sとは

テスト車はメルセデスAMG A45S 4マティック+のエディション1と呼ばれる発売記念特別仕様車である。数値スペックは変わらないものの、下記の項目(加飾)が異なっている。

サンイエロー(黄色)とデジーノ・マウンテン・グレー・マグノ(灰色)の2色展開であったエディション1は、ボディサイドに専用デカールが貼られている。ホイールも黒塗りだ。

内装はAMGパフォーマンスシートが標準で備わる。ステアリングセンターには黄色いマークが付き、さながらレースカーだ。「EDITION」のロゴも入る。イエローのパイピングやAMGのロゴが、そこかしこに見て取れる。

派手な外装ではあるが、これを「やっとの思いで買ったスポーツカー」なのか、「日常でもサラッと使い倒しながら楽しむときは楽しむための洒落の効いたクルマ」として所有するかで、見え方は随分と変わってくるだろう。乗り手の心意気が試されるとも言える。

スペックをみていこう。2リッター直列4気筒は、ついに421ps/6750rpmに到達。最大トルクも500Nm/5000〜5250rpmとなる。

駆動方式は4WD。8段デュアルクラッチ・オートマティックを組み合わせる。タイヤサイズは前後ともに245/35 ZR19となる。

最高にして最適

2リッター4気筒ターボが421psもの大パワーを捻り出す。一昔前の魔改造走り屋カーも顔負けの数字。どれほどトリッキーなのか…。ドライブする前は、少し警戒していた。

けれど低速がスカスカすることはなく、豊かなトルクがリニアに立ち上がる。乗りやすい、と断言できるスタートに安心した。

シャシー剛性も各種補強によって高まっている。おかげでサスペンションがしなやかに動く。ボディ側はびくともしない。例えばピラーと上屋の接合点のキシミもない。ロールケージが入った車のようだと思った。

コンフォートモードでは、程よい排気音に、なめらかなトルク、しなやかな足さばきと、これなら日常の買い物にだって十分使える。

スポーツ+モードでは、バリッと音が変わり、アシの動きも制限される。ただ不思議なのが、突き上げで頭が不必要に揺さぶられたり、腰のあたりが痛くなることはない。隅々まで抑制の効いた硬派さといおうか。まとまりの妙。

そしてとにかく速い。5000rpmを超えるあたりからズズッとホイールを滑らせながら前へ前へと突き進む。アフターファイヤーの音がブブっと盛大に響く。どれほどストレートが続こうとも、加速が息詰まることは無さそうだ。

サーキットに持ち込んでも、これならば最初から良いタイムを出せるはずだ。リアのトルクが、フロントを上回ることはシステムの都合上ないけれど、リア左右は瞬時に配分される。ぜひ試すことが出来たらと思った。

現代における宝

ハイチューンといえるこのエンジンを、日常域〜サーキット走行まで大いなる余裕をもって楽しめるメルセデスAMG A45S 4マティック+は、自然吸気エンジン→電気へと移行するかもしれないこの時代における宝物だといえる。

データを見ると、燃料消費率も10km/Lを簡単に超える(WLTCモード)。刺激もあり、乗りやすく。エコノミカル。これ以上何を望もうかという気持ちになる、珍しい車である。

SPEC

メルセデスAMG A45S 4マティック+エディション1

年式
2020年
全長
4445mm
全幅
1850mm
全高
1410mm
ホイールベース
2730mm
トレッド(前)
1560mm
トレッド(後)
1560mm
車重
1650kg
パワートレイン
2リッター直列4気筒ターボ
トランスミッション
8速AT
エンジン最高出力
421ps/6750rpm
エンジン最大トルク
500Nm/5000〜5250rpm
サスペンション(前)
ストラット
サスペンション(後)
マルチリンク
タイヤ(前)
245/35 ZR19
タイヤ(後)
245/35 ZR19
メーカー
価格
店舗
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