なぜ「ゲレンデ」=メルセデス・ベンツGクラスは、世の成功者に好まれるのか。G350dに試乗することで理由を確かめた。そこには圧倒的個性が存在していたのだった。
「G」は、「ゲレンデヴァーゲン(=Geländewagen)」の頭文字から来ている。オフロード車を意味するドイツ語である。
Gクラスは大きく分けると2世代しかない…といえば少々意外だろうか。1979年にデビューした初代=W460の後は、1990年フルモデルチェンジのW463、これだけ。え?2018年以降の現行型は?と思われる方もいらっしゃるかもしれないけれど、あれも大枠ではW463。厳密にはW463Aと呼ばれ、フルモデルチェンジ並みの変更点であったけれど、W463を踏襲する。
今回テストするのは、W463型(1990〜2018年)のうちの2018年型。いずれもG350dと呼ばれるディーゼルエンジン搭載車で、日本仕様のGクラスとしては20年以上ぶりに2013年より投入され人気を博した。右ハンドル仕様も日本からの要請で実現した。
「癖」の強さ=味わい
「ゲレンデ」を目の前にすると、かなり大きい。全長:4575mm、全幅:1860mm、全高:1970mm(!)というボディサイズはもちろんのこと、視覚的に大きいと感じるのは、フロントノーズの高さ、起立するフロントガラスなどによるプレッシャーによるところが大きい。
ドアノブを握り、親指でボタンを押すと、ガッチャン。ラッチが外れる音がする。外ヒンジの薄くて重いドア開き、よいしょっと乗り込むと、気分はもう無敵状態。目線は高く、ガラスの大きさと角張った車体ゆえ視界はいい。ダッシュボードの薄さが少し古風でワークホース感がある。ドアを締めるとカキンッ。室内の空気が密閉される感覚になるくらい精緻だ。
これらの癖は、リサーキュレーティングボール式×油圧テレスコピックダンパーのステアリングだったり、ラダーフレームだったり、サスペンションだったりが理由であるけれど、まあ、難しいお話は置いておいて、もともとが軍用であり、このモデルでも色濃く基本形態を引き継いでいるからである。
大きな救いは、それらの動きに規則性があり、慣れてしまえば、例えば小道を急ぐ時、あるいは高速道路で飛ばす時にも、思い通りに動かせること。念の為申し上げておくと決して安楽ではないが、男子ならわかってくれるかな…、ざぶっとした新品のジーンズを少しずつ自分に馴染ませていく楽しみのような、じわりとお互いをすり合わせてゆく味わいといいますか。
圧倒的な個性を楽しめるのである。
SPEC
メルセデス・ベンツG350dヘリテージエディション
- 年式
- 2018年
- 全長
- 4575mm
- 全幅
- 1860mm
- 全高
- 1970mm
- ホイールベース
- 2850mm
- トレッド(前)
- 1540mm
- トレッド(後)
- 1540mm
- 車重
- 2550kg
- パワートレイン
- 3リッターV型6気筒ディーゼルターボ
- トランスミッション
- 7速AT
- エンジン最高出力
- 245ps/3600rpm
- エンジン最大トルク
- 540Nm/2400rpm
- サスペンション(前)
- リジッドアクスル
- サスペンション(後)
- リジッドアクスル
- タイヤ(前)
- 265/60R18
- タイヤ(後)
- 265/60R18
メルセデス・ベンツG350d
- 年式
- 2018年
- 全長
- 4575mm
- 全幅
- 1860mm
- 全高
- 1970mm
- ホイールベース
- 2850mm
- トレッド(前)
- 1540mm
- トレッド(後)
- 1540mm
- 車重
- 2550kg
- パワートレイン
- 3リッターV型6気筒ディーゼルターボ
- トランスミッション
- 7速AT
- エンジン最高出力
- 245ps/3600rpm
- エンジン最大トルク
- 540Nm/2400rpm
- サスペンション(前)
- リジッドアクスル
- サスペンション(後)
- リジッドアクスル
- タイヤ(前)
- 265/60R18
- タイヤ(後)
- 265/60R18