アストン・マーティン・ヴァンキッシュ(2世代目)の試乗記。もはやアート作品ともいえそうなデザイン、魅惑のV12、オープン。細かな事など気にならなくなる刺激にやられた。
ヴァンキッシュ(2代目)
ヴァンキッシュ(2代目)は、2012年、まずは「プロジェクトAM310コンセプト」としてイタリア北部、コモ湖の西岸で執り行われるコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ(クラシックカーのコンクール)にて披露された。
310は、社内でVH310と呼ばれていた「VHプラットフォーム」のコード名から来ている。ではこの「VH」とは何かというと、Vertical Horizontal(バーティカル=垂直、ホリゾンタル=水平)の略で、同社内やグループ内でのプラットフォーム展開を意味していた。
なお構造としてはバスタブ型のアルミシャシーが基本で、アルミ押し出し材やマグネシウム製の骨格を接着。これに外殻が組み合わされる。世代としては3代目のプラットフォームで、より軽く、より堅牢になったという。
デザインは初代がイアン・カラムであったのに対し、今回は内部のマレク・ライヒマンが担当。ボディサイドやテールライトなどは、ライヒマンが同じく担当した77限定のOne-77から大きく影響を受けている。
野太く獰猛なサウンドは、迫力はそのままに高音に転じてゆく。フェラーリ12気筒のように、羽音のような高音ではなく、太く、猛々しい高音といえば伝わるだろうか。
Sモードにするとさらに音量は倍増し、迫力は倍増どころか二乗される。幌を開けると…。後ろから響き渡る甘美なサウンドに酔いしれる。美しいボディとサウンド。この世の中にこれ以上の快感があろうか、とさえ思う。
個人的には硬質(しなりづらい)と思っていたVHアーキテクチャーも、ヴァンキッシュのホイールベースゆえか、しなやかに感じる。
タッチトロニックIIIの進歩も明白。変速は適切で、時間も短い。ギア選びも柔軟だ。
たしかに同世代の真横を見渡せば、もっとモダンな乗り味のスポーツカーは存在するけれど、そんな頭でっかちな考えを簡単に吹き飛ばしてしまう魔性の車であると感じた次第だ。いや、正直に申し上げて、最中は興奮するだけだった。後になって魔性の車であると感じた次第だ…。
SPEC
アストン・マーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテ
- 全長
- 4728mm
- 全幅
- 1912mm
- 全高
- 1294mm
- ホイールベース
- 2740mm
- 車重
- 1844kg
- パワートレイン
- 6リッターV型12気筒
- トランスミッション
- 8速AT
- エンジン最高出力
- 576ps/6650rpm
- エンジン最大トルク
- 630Nm/5500rpm
- サスペンション(前)
- ダブルウィッシュボーン
- サスペンション(後)
- ダブルウィッシュボーン
- タイヤ(前)
- 255/35 ZR20
- タイヤ(後)
- 305/30 ZR20