試乗中に口をついて出た言葉があった。よくよく考えれば共通の祖先を持つともいえるそのクルマと同様に、ゴルフR32もそこから派生した正常進化と言えるのかもしれない。
ターゲット宅の近くに路駐されたバン。荷室の中には夥しい電子機器と諜報部員がいて、スパイ活動をしている。映画的にそんなアウトローな使い方にも重宝される一台なのだ。
クルマの歴史を振り返るとき、「大衆車」と呼ばれていたということはつまり、当時の技術や指標を味わえる。試乗車はオリジナルコンディション、これ以上に何を望むだろう。
今と正反対の季節を想像して欲しい。薄暗い朝夕、街が色を失うどんよりな悪天。少しでも自然光が恋しくなるそんな時、クーペでもなく、カブリオレでもなく、タルガなのだ。
これまで色々な911は買ってきたが、タルガだけ買ったことがない。いつもタルガを買うけど、他のグレードには興味がない。911ヒエラルキーの中で孤高の存在はタルガ。
ベントレー、ブガッティ、ポルシェ、ランドローバー、メルセデス・ベンツ。名立たる外国車を知る男、白洲次郎が開発陣に意見した「ソアラ」を「エモさ」という目線から。
一昔前のスポーツ選手(特に野球)=「ベンツ」だった。理由は簡単。資本の身体を守るため。守るものが出来た貴方、どうですか?
街中ですれ違うことの少ないクルマというのは意外に多い。すれ違いや、ほんの隙間から見えたその刹那、「なんだアレ?」と思わせる時点でもうデザイナーの勝利なのである。
クラッチを踏む。その時々に必要なギアを自分で選びながら、音楽を聴き、余計な機能が一切付随しないハンドルを切り、走る。これでいいのだ。クルマは純粋無垢でいいのだ。
「ドイツの血が混じった」と言われるが、「混じった」とは輸血程度のものか、はたまた混血児か? ここは是非ご自身でステアリングを握り、体感してから判断頂きたい。
イタリアの考える人馬一体感を味わえる一台フィアット・バルケッタ。1090kgという重量にオープンボディとFFを組み合わせ、MTで駆る一台は不思議な調和を見せる。
車種に限定すると、硬派と軟派なファン層が混同するクルマは多くない。「G」には某RRレイアウトのように、諸行無常のなかにも頑固な意思が共通して存在するからだろう。